メインコンテンツ ここから

「知って感じる映画」バックナンバー

0012009.06.30UP食べること、やっぱり基本です

スローフード、地産地消、食育…

 ここ数年、食をテーマにした映画の公開が続いています。
 狂牛病にはじまり食品偽装、食品への農薬混入事件などなど、相次ぐ事件によって、安全で安心な食への関心が一気に高まったからでしょう。一方で、服部幸應さんなど著名な料理評論家や食のプロによる「食育【1】の試みも目立ってきているので、「事件」だけがきっかけでもないようです。
 イタリアから世界へ広がったスローフード運動【2】アメリカのローカルフード運動【3】も、食に関係する映画の登場と遠からず結びついているように思います。

私たちの身体はトウモロコシでできている?

『キング・コーン』
『キング・コーン』

 今年4月に公開された『キング・コーン(2007)』の主役はトウモロコシ。大学で仲が良かったイアンとカートの二人組が、アイオワ州の田舎町に移り住んで1エーカーの土地を借り、地元の人たちにノウハウを学びながら、いわゆる“一般的な”やり方でのトウモロコシ栽培を経験する1年間を追ったドキュメンタリーです。
 アメリカで生産されるトウモロコシのうち、人間が直接食べているのはほんの1割程度で、残りは家畜のえさやコーンシロップ、バイオ燃料、土に還る生分解性プラスチックなどの加工原料になっているということ。そのトウモロコシは品種改良され、でんぷん質ばかりの“工業用”トウモロコシになっていること。それが牛肉やソフトドリンクの原料などさまざまに形を変えて私たちの胃袋に入っていること…などなど、トウモロコシを取り巻くさまざまな“環境”を映し出しています。

 夏のバーベキューの定番のトウモロコシがこんなことになっていたなんて! と驚くような事実が、仲良し二人組のナゼナニ目線で語られます。さすがエンターテインメントの国、アメリカで作られたドキュメンタリーだなと思わせる、飽きさせない展開になっていますので、ドキュメンタリーは苦手という人でも大丈夫かも。

美食の国、フランスにて

『未来の食卓』
『未来の食卓』

 『未来の食卓(2008)』は、「小学校の給食をすべてオーガニックにする!」という前例のない試みに挑戦し、今ではフランスでのオーガニック給食導入の先駆的存在となった、南部の小さな村での日々を綴っています。ゴッホの絵にも描かれているような美しいフランスの田園風景と、(畑にズームしたときに)一面に霧がかかったように農薬がまかれている光景の対比が印象的。大事な人を病気で亡くす、癌の発症率が高い・・・身近な健康という切実な話題から、食の見直しに話がつながります。自分たちで野菜を育ててみたり、嫌いなニンジンをよけて注意されたり…子ども達の素直な反応がかわいらしい反面、データを駆使して観る人を説得していく展開は、フランス版『食の不都合な真実』のようです。

いつも飲んでるワインやコーヒーのこと、どれだけ知ってる?

『eatrip』
『eatrip』

 ご紹介した2つの作品はそれぞれ、アメリカ/フランス発でしたが、日本発の“人と食を巡る旅”をテーマにした映画『eatrip』も、6月6日から全国公開中なのでチェックしてみてください。
 また、すでに一般公開が終了したものの中にもおすすめはたくさんあります。
 ドキュメンタリー映画なのにまるでフィクションのようなタイトル、ドラマチックで衝撃的な内容で話題を呼んだ『ダーウィンの悪夢(2004)』。『いのちの食べ方(2005)』は、セリフ・ナレーションなしで淡々と私たちが日々口にしているものが「生産」される様子を映し出しています。
 「食べる」ではなく「飲む」のほうですが、ワイン好きには、世界のワイン生産現場を描いたドキュメンタリー『モンドヴィーノ(2004)』を。コーヒー好きの人は、次の豆を買う前に『おいしいコーヒーの真実(2006)』がヒントになるかも。  メジャーな映画ではありませんが、レンタルビデオ屋さんでも貸し出しているところがありますよ。

用語説明

【1】食育
 自分の食べているものがどこからきているのか、魚や肉、野菜はどうやって作る(獲る)のかという食材のことだけでなく、家族で食卓を囲むことの大切さや食事のマナー、食の伝統について知ること。さらに、食料自給率や世界の食糧問題など、広く国際社会の「食」に関する課題について学ぶこと。
【2】イタリアのスローフード運動
 「ファストフード」が大きく広がり、大量生産、大量流通、食品添加物の使用などによる「食の均質化」が世界的に進んだ1980年代に、バラエティ豊かな地域の食をおいしく食べようとイタリアで始まった動き。今では世界中に広がり、日本にもこの運動を推進するNPOが存在する。
【3】アメリカのローカルフード運動
 地域で生産したものをその地域で消費する「地産地消」に近い考え方。農業の大規模化や多国籍企業の成長によって、食の流通システムが大きく変わっていった1960年代後半から70年代にかけて、地域の生産者を守り、環境に配慮した食の生産、加工、流通を推進する動きとしてスタート。近年、エコロジー・環境への関心の高まりからさらに広がりをみせている。
 米国農務省の発表によると、1994年には全米で1,755箇所だったファーマーズマーケット(その地域の生産者が自分で作った作物や加工品を持ち寄って販売する場)が2008年には4,685箇所に増えている。
http://www.ams.usda.gov/AMSv1.0/farmersmarkets

このレポートは役に立ちましたか?→

役に立った

役に立った:2

このレポートへの感想をお送りください。
投稿いただいた感想は事務局チェック後に掲載されます。

ニックネーム
感想
 
送信する入力内容クリア

前のページへ戻る

【PR】

 

ログイン

ゲストさん、

[新規登録] [パスワードを確認]

エコナビアクションメニュー

【PR】

  • 東京環境工科専門学校 コラム連載中!