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「スマート・ハウスはどう進化していくか?」バックナンバー

0052018.04.27UPZEHの機能を万能化するIoTの可能性

「インターネット」から「モノのインターネット」へ

 前回、実用化に向けて急速に進化してきた「人工知能(AI)」について、具体的な商品化の動向とスマート・ハウスへの導入・応用の可能性について解説しました。今回は、それを受けて、もう一つの重要な要素であるセンサー側について、「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」の現状と今後の進展を取り上げて観ていきたいと思います。

 「インターネット」とは、簡単には「複数の情報端末機器が地域から世界規模まで自由に連結され、あらゆる種類の情報を通信し合うこと事ができる情報通信網(ネットワーク)」と言えます(図1)。現在では、全世界でほとんどのパソコンやサーバー、さらにはスマートフォンをはじめとする通信機器が有線・無線を問わずインターネットにつながって、ホームページ(WWW:World Wide Web)で学修したり、動画や音楽を楽しんだり、買い物をすることができます。
 情報通信機器だけがつながっているインターネットに対して、図2のようにあらゆるモノが直接インターネットにつながる状況が出てきました。これが「モノのインターネット(IoT)」と言われる状態です。IoT以前は、インターネットを介して「モノ」の情報を得るには、まずモノが通信機器とつながることが必要でした。例えば、外出先から家庭内の空調をするには、部屋の温度やエアコンの情報をHEMS用コンピュータからインターネットを介してスマートフォンなどで受け取り、それに対して調整指示を送るとHEMSがエアコンを適切に調節するといった流れでした。しかし、IoTになると、エアコンや照明機器自体が直接インターネットにつながり、機器自身が情報を送・受信し、かつコントロールすることができます。
 IoTにおける「モノ」には通信機器はもとより、エアコンや照明、お風呂などの各種家庭用機器だけでなく、ドアのロック、カーテン、観葉植物【1】、ペット、さらに「ヒト」までも含まれます。

【図01】インターネットとIoTの比較(インターネットの概念)

【図02】インターネットとIoTの比較(IoTの概念)

【図01・02】インターネットとIoTの比較(左:インターネットの概念、右:IoTの概念)


IoTを加速させる「センサー技術」

 IoTの機能を十分に発揮させるための基本要素が「センサー技術」です。これは、ハードとしての高性能「センサー」の開発と、センサーの検知情報を加工したりインターネット上で送受信したりする高度な情報処理技術の開発です。
 ハードとしては、電気、温・湿度、光、加速度、圧力、風など様々な物理量を検知するセンサーが開発されており、既に身近な生活の中で様々な機器に組み込まれて使われています。半導体技術のさらなる高集積化や微細化により、センサーはより高性能・小型化・省力化されています。図3・4に示すように、クレジットカードに使われているICチップや、商品管理に使われているICタグなどは無電源かつある程度の範囲(家庭内)では無線で検知や通信ができるようになっています。これらのセンサーの中には、ゴマ粒よりもはるかに小さなものも開発されています。

【図03】各種センサーチップ(ICチップ)

【図04】各種センサーチップ(ICタグ)

【図03・04】各種センサーチップ(左:ICチップ、右:ICタグ)


センサーと機器とヒトとのつながり

【図05】スマート・ウォッチの例(Apple Watch)
【図05】スマート・ウォッチの例(Apple Watch)

 センサーが電気機器に限らす家庭内のあらゆるモノに組み込まれることにより、機器を制御し、家庭内でヒトの快適な生活環境が実現できます。快適な条件設定は、従来、基本的にはヒトが自分の感覚や好みによって予め設定した条件に合わせて機器を制御していました。しかし、IoTが進展すると、ヒトが意識的に条件を設定するのではなく、センサーがヒトの身体の状態を検知して最適な条件設定ができるようになります。
 例えば、身体に取り付けられたセンサーが体温や発汗状況などを検知し、家に帰ったときに快適な温湿度環境が得られるようにエアコンを調整しておくことができるようになります。
 IoTに対応したセンサー機能を実現する機器として注目を集めているのが「ウェアラブル(身に付ける)機器」です。これは、言葉通りに「身に付けられる」情報通信機器です。各種センサーを組み込んだ時計型の通信機器「スマート・ウォッチ」(図5)【2】と呼ばれる商品もどんどん発売されて、通信機能だけでなく健康管理やトレーニングサポート用として利用されています。

センサーがヒトと直接つながる ~「ウェアラブル」から「体内」へ

 人にとって快適かつ安心・安全で、さらにエネルギーや資源の利用効率アップにつながるようにスマート・ハウスが上手く機能するためには、人に関わる様々な情報を継続的に監視することが必要になります。その観点から考えると、スマート・ハウスの進化とウェアラブル機器との進展は切り離せない関係になっていきそうです。
 現在では、先に挙げた時計型やリストバンド型、あるいはゴーグル/眼鏡型、「着る」という感覚でベスト型やジャケット型など、様々な形態の機器がどんどん開発されています。最近では、さらに「直接」体に付けるタイプも開発されています。その一つが「体内埋め込み型」です。個人情報や各種センサー機能をICチップにして体内に埋め込で使用するタイプのセンサーです【3】。本来は、より高度な情報セキュリティのための個人認証技術の一つとして開発されています。この他にも、身体に直接センサー回路を貼り付ける印刷タイプ、皮膚上に書き込むタトゥー(入れ墨)タイプまで様々なものが開発されています。
 個人的には、身体への直接取り付け型に違和感があります。しかし、一方で快適な生活環境の自動設定や定常的な健康管理に大いに役立つことは理解できますし、また大きな期待も持たれています。既に米国では実際に試行している企業も出てきていますし【3~5】、日本でも入院患者のバイタル監視用に医療現場で開発・試用が進められています。

 前回のAI(人工知能)と今回のIoTが連携すると、生活空間としてどんなスマート・ハウスが実現されるのか、さらには社会とどのようにつながっていくのでしょうか?
 次回は、AIとIoTが連携したスマート・ハウスの姿を少し大胆に想像してみたいと思います。かなり独断と偏見が入ったSF的なお話になるかもしれませんが、次回もおつきあいいただければ幸いです。


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