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「スマート・ハウスはどう進化していくか?」バックナンバー

0022017.11.07UP「スマート・ハウス」の進化形「ZEH(net Zero Energy House)」

キーワードは「スマート」から「ゼロ・エネルギー」へ

 今回から「スマート・ハウス」と呼ばれている新しい「家」について具体的な進展をご紹介していきましょう。まず挙げなければならないキーワードが「ゼロ・エネルギー(ZE:Zero Energy)」です。「スマート」は、家全体の機能をより賢くしようという方向性を示すキーワードで、総合的進化を表すには都合の良いものです。しかし、一方で内容が多岐にわたり過ぎるため技術開発の具体的な目標が立て難く、その結果として目標達成の評価も曖昧なものになります。
 そこで、スマート・ハウスの主要機能の一つである「エネルギー利用」に特化して、そのコンセプトを明確に表すキーワードとして「ZE」が提唱されるようになりました。そして、これに対する政策目標が「第4次エネルギー基本計画」(2014年4月閣議決定)で具体的に設定され、
「住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の実現を目指す」
と明記されています。ここで、「標準的な新築住宅」については確とした定義はありませんが、大まかには「建築時点の標準的な建設技術で建てられ、標準的な断熱性能や省エネ製品が設置された家」だと考えられます。また、2030年までの「新築住宅の平均」とは、断熱性能や省エネ設備の性能に対してトップランナーから低レベルまで様々な新築住宅がある中で、それら全ての平均を指標とするということになります。
 その後、2014年に設置された「ZEHロードマップ検討委員会」が、この実現に向けた2020年までのロードマップ(図1)を策定しています。
 このような政府が掲げた目標に向かって、現状、民産学官をあげてその実現に向けた施策の実行、技術開発が促進されています。

【図1】ZEHロードマップ(出典:ZEHロードマップ検討委員会、2015年12月)
【図1】ZEHロードマップ(出典:ZEHロードマップ検討委員会、2015年12月)

ZEH(Nearly ZEH)とは?

【図2】ZEHのイメージ(出典:平成26年度補正 住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業))
【図2】ZEHのイメージ(出典:平成26年度補正 住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業))

 では、中味として「ZEH」とはどのような「家」を指すのでしょうか? 前述の検討委員会の定義では、「外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの住宅(Nearly ZEH:極力ゼロに近づけた住宅)」とされています。
 平たく言えば、ZEHとは「エネルギーを自給自足できる家」(図2)ということになります。定義の中で「再生可能エネルギーにより」として、自宅に設置した太陽光発電などの再生可能エネルギーによる電力を蓄電池なども活用して最大限自家消費して、余剰があれば売電するという考え方を明確にしています。この定義に対して、ZEHを公正に評価するために、専門的かつ定量的指標として、下記のような4項目が設定されています。

【ZEH評価の定量指標】
[1] 強化外皮(屋根、壁、窓、扉など)の高断熱基準値(地域により異なる)
[2] 再生可能エネルギーを除いて、
  「基準一次エネルギー消費量」に対して「一次エネルギー消費量を20%以上削減」
[3] 再生可能エネルギーを導入(容量不問)
[4] 再生可能エネルギーを加えて、
  「基準一次エネルギー消費量」に対して「一次エネルギー消費量を100%以上削減」

 ※ここで、「一次エネルギー消費量」とは家庭で消費するあらゆるエネルギーを原料(石炭、石油、ガス)に換算した量。「基準一次エネルギー消費量」は省エネ法(H25)に基づいて「暖冷房、換気、給湯、照明」を対象にした標準的家庭における算出値。

 ZEHを具体的に実現するには、まずは太陽光発電やエネファームのようなエネルギーを供給するための発電システムと、それを有効活用するために蓄電池やハイブリッド車などの蓄電システムを組み合わせた「創エネルギー技術」の導入が必須です。これに加えて、エネルギー利用効率を向上させる省エネ技術導入も不可欠です。前回の連載でも触れたように、HEMSのようなICT技術を活用して省エネ性の高い電化機器(省エネ・エアコン、冷蔵庫、LED照明など)のエネルギー利用を能動的に制御する「アクティブ制御」と、土壁や障子のような日本家屋の伝統的知恵や二重窓構造などの「パッシブ制御」の両面からのアプローチがされています。
 このような創エネと省エネの両輪によって、ZEHが具体的に実現可能になります。

ZEH普及への課題:概要

 「エネルギーの自給自足」は言い換えると、ZEHで生活すれば「ずっと光熱費はタダ」ということになり、少し夢のように感じられるかもしれません! しかし、ZEHは現状技術レベルで既に十分実現は可能です。
 そんなにお得で既に実現可能なモノなら、なぜもっと普及しないのかという疑問が一方で湧いてきます。「タダより怖いものはない」とか、「うまい話には裏がある」の喩えではありませんが、現状では技術レベル以外の課題がまだたくさんあります。主なものには以下のような項目が挙げられています。

  • ZEH初期導入費用の高さ
  • ZEH化のメリットの明確化
  • ZEH認知度の向上、
  • ZEH普及の社会的動機付け-低コスト化、利害関係者へのインセンティブ付与

 これらの課題に取り組み、ZEHを普及させるための活動体として、2011年2月に「一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)」が設置されました。SIIは経済産業省資源エネルギー庁からの委託を受けて、ZEHロードマップ目標の達成を目指して、ZEHの新築、ZEHの新築建売住宅の購入、または既存戸建住宅のZEHへ改修などのための支援事業を運営しています。事業活動の実績については、毎年、報告会が開催されており、今年度も東京会場:平成29年11月28日(火)、大阪会場:平成29年12月4日(月)での実施が予定されています。

 今回は、スマート・ハウスの新たなキーワードである「ZE」の解説で、少し堅めの内容になってしまいました。
 次回は、上に挙げたZEHの諸課題についてどんなメリットが考えられ、逆にどのような点に注意が必要になるのかなど、もう少し詳しく、わかりやすく説明していきたいと思います。また、よろしくお付き合いください。

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  1. 001「「スマート・ハウス」のその後」 -過去5年間の変遷-
  2. 002「「スマート・ハウス」の進化形「ZEH(net Zero Energy House)」 」

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