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「地球をグリーンにする発明家」バックナンバー

0112017.08.08UP「風の秋田」を創る(3)-新しい挑戦から活路を見出す-

ハイリスクな融資をする理由

北都銀行プロジェクトファイナンス室の佐藤幸司室長。
北都銀行プロジェクトファイナンス室の佐藤幸司室長。

 「地域のリスクはとる。それがなければ地域の成長も、地方銀行の成長もない」
 ――意を決した北都銀行が、プロジェクトファイナンスに取り組み始めて数年。
 プロジェクトファイナンスとは、担保主義のコーポレート・ファイナンスではなく、特定事業に特化しその収益のみから返済を求めるもの。もとは米国で生まれた金融ソリューションです。国内で地銀が取り組む例はほとんどないなか、北都銀行はこれまでに11件の幹事案件を手掛けました。プロジェクトファイナンスは、融資する側にも極めて専門的な事業理解が求められます。
 面白いのは、地銀である北都銀行がプロジェクトファイナンスに挑戦した、ということだけではありません。プロジェクトファイナンスの構成比率は、一般にエクイティ(自己資本)20%、ファイナンス80%。しかし、プロジェクトコストが巨額に及ぶ風力発電事業において、その20%相当ものエクイティを持つ地元プレイヤーなど存在しません。北都銀行は、エクイティが1割に満たないケースまでをも取り扱っています。
 「足りない部分のリスクは金融機関がとります」
 なぜそんなハイリスクな融資ができるのか。同行でプロジェクトファイナンス室長を務める佐藤幸司氏はこう説明します。
 「この地域をお客様と一緒に発展させたいからです。その代わり、高めの金利設定もお客様に納得していただいている。それは銀行がリスクをとっているからだし、地域のためにやっているのだから、利益は自分たちと銀行、そして地域とでシェアしようというお客様の理解があるからです。これが地方版プロジェクトファイナンスのよいところ」

再生可能エネルギー向けの融資案件は、すべてが順調

北都銀行頭取の斉藤永吉頭取。
北都銀行頭取の斉藤永吉頭取。

 北都銀行が手掛けた70以上(プロジェクトファイナンスを含む)の再生可能エネルギー向けの融資案件は、すべてが順調に行っているといいます。太陽光が7割、風力が2割、残りはバイオマスなど。しかし今後、秋田が風力産業を加速していくなかで、風力案件がメジャーになると見込まれます。銀行業務が厳しさを増す中、十分な収益を稼ぎ出せる事業として足場を固めてきました。
 「秋田は全国一、風況に恵まれています。事業者のキャッシュフロー効率が高まるので、その分資本が少なくて済む。これはもう、秋田ならではですよね」
 “風力の北都銀行”という認知も、着実に形成されてきています。太平洋側の銀行や企業からも、せめてファイナンスだけでも参加させてくれという申し入れが相次いでいる、と言います。

 「次にめざすのは、組み立て工事やメンテナンス工事の事業機会を県内に持ってくること」
 同行の斉藤永吉頭取はきっぱりと言います。

挑戦をして、活路を見出す

 ウェンティ・ジャパンと日本製紙との合弁企業「日本製紙ウェンティ風力株式会社」は、いま、日本製紙秋田工場の隣接地でGEの3.2MW型風力タービンの建設を進めています。建設を担う三井造船に、風車の土台づくりに必要な“テンプレート”と呼ばれる大型部品を供給するのは、地元企業の三栄機械です。

株式会社三栄機械 本社工場(秋田県 由利本荘市)。ここで作るテンプレートが、向浜の風力タービンの土台作りに役立つ。
株式会社三栄機械 本社工場(秋田県 由利本荘市)。ここで作るテンプレートが、向浜の風力タービンの土台作りに役立つ。

GE製3.2MW風力タービンの土台建設風景。向浜風力発電所(日本製紙秋田工場 隣接地)。上部のボルトの位置を定めるパーツは三栄機械が製造・供給している。
GE製3.2MW風力タービンの土台建設風景。向浜風力発電所(日本製紙秋田工場 隣接地)。上部のボルトの位置を定めるパーツは三栄機械が製造・供給している。


株式会社三栄機械 代表取締役社長 斉藤民一氏。設立から46年。航空業界、自動車業界などに技術提供してきた同社の歴史は金属加工から炭素繊維を用いた成形技術まで、常に新しいことへの挑戦だった。
株式会社三栄機械 代表取締役社長 斉藤民一氏。設立から46年。航空業界、自動車業界などに技術提供してきた同社の歴史は金属加工から炭素繊維を用いた成形技術まで、常に新しいことへの挑戦だった。

 三栄機械は、秋田風作戦コンソーシアムのメンバーでもあります。縮小の一途を辿る秋田の産業に危機感を抱きながらも、斉藤民一社長は「秋田風作戦」には非常に大きな希望があると言います。
 「高度経済成長期は、機会あるものを皆で分け合っていれば十分だったんです。でも今は、それぞれが強みを自覚し、皆で何ができるかを見つけて実行に移すべき時。厳しい時こそ、差別化のチャンスですからね」
 三栄機械の歴史を振り返ると、困難な時期も、あえて新たなことに挑戦することで乗り越えてきた。
 「挑戦をして、活路を見出すんです。だいたいほら、新しいことをやらないと楽しくないじゃない!」
 そう言って笑う斉藤社長の表情は眩しいほどです。

世界に誇れる風力発電のメッカをめざす

 GEが秋田の企業とともに活動するなかでは、グローバル規模のコラボレーションの芽も根付きはじめました。たとえば、洋上風力タービン建設コストの多くを占める、発電機のマグネット。秋田を代表する企業、TDKが製造するマグネットの品質は非常に高く、GEの最新型洋上風力タービンHALIADE150-6MW(ハリアデ150-6MW)にすでに採用しています。
 数年前は中央資本によって建てられた風車を横目に眺めていただけの、専門ノウハウも経験もなかった地元企業や銀行たちが、タッグを組んで風車を回しています。
 「世界に誇れる風力発電のメッカをめざす。研究成果やイノベーションは秋田から起こる。研究者、開発者、事業者が世界各国から集まってくる。“風の秋田”を作るのが夢」
 斉藤頭取はそう語る。部品製造だけでなくアカデミックな仕事を増やし、若い人が生き生きと働く地域社会をめざす、との言葉を聞いて、まるでそれが実現された秋田が目に見えるかのように感じたのは、地域のプレイヤーたちが確かな手応えと自信を感じはじめているからでしょう。

 GEは今後も、地元を愛し、次の世代のために邁進する秋田の皆さんのパートナーとして、この地域創生に貢献できるよう努力していきます。

※本稿は、2017年6月21日に公開されたGE REPORTS JAPAN掲載記事
 ( https://gereports.jp/windfarm-akita-3 )をもとに再構成したものです。


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