【国際機関】2021.03.25 発表
国際自然保護連合(IUCN)は、レッドリストを更新し、「危急種」に指定していたアフリカゾウを2種に区別したうえでマルミミゾウを「近絶滅種」、サバンナゾウを「絶滅危惧種」に指定し直した。特にマルミミゾウは、象牙取引のための違法殺傷や生息地の破壊などにより過去31年間で個体数が86%も減少したという。ボン条約(移動性野生動物種の保全に関する条約:CMS)では、2008年より両種を分けて「附属書?」に加え国境を越えた保護協力を促進してきたが、今回IUCNがこれらの種の絶滅危惧の深刻度を引き上げたことを受け、生息地のある国に種の厳重な保護義務が生じる「附属書I」に編入するための検討が可能になる。同条約は、ゾウが生態系の健全性維持に重要な役割を果たしていることも踏まえ、密猟や生息地破壊等の脅威に早急に対処すべきだと指摘する。国際通貨基金(IMF)によると、マルミミゾウが食事や移動をすることで炭素吸収量の高い大木の成長が促され、その価値は1頭あたり推計175万ドルにのぼる。一方、1頭分の象牙が生む価値は約4万ドルに過ぎないという。
【ボン条約】
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