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「サスティナブルなDIY生活のヒント」バックナンバー

0072016.03.22UP電力は自由に選ぶ-電力自由化を先駆けるオーストラリアの事情-

南オーストラリア州の巨大風力発電ファーム
南オーストラリア州の巨大風力発電ファーム

 今年の4月から日本でも始まる「電力自由化」。家庭向けの電力小売り事業への参入が予定されている新電力会社は100社以上に上り、熾烈な顧客獲得作戦が繰り広げられそうな勢いです。
 これだけ選択肢が増えると、選ぶほうも迷ってしまいそうですね。オーストラリアでは、そこまで多くはないものの、既に1990年代後半から電力の自由化が始まっており、各家庭ではそれぞれの事情に合わせて、電力会社を選んできました【1】

電気とガスを供給するエネルギー会社が主流

再生可能エネルギーによる発電の割合を10%~100%まで細かく設定している「パワーダイレクト」
再生可能エネルギーによる発電の割合を10%~100%まで細かく設定している「パワーダイレクト」

州政府主導による再生可能エネルギー発電の電気購入を推進する「グリーンパワー・プロジェクト」
州政府主導による再生可能エネルギー発電の電気購入を推進する「グリーンパワー・プロジェクト」

 オーストラリアでは、日本のように「電気を供給する電力会社」、「ガスを供給するガス会社」という区分けはとくにありません。電気もガスも「エネルギー」という位置づけから、どちらも供給する「エネルギー会社」として運営しているところがほとんどです。
 電気とガスの両方をひとつの会社から購入することもできますし、それぞれ別の会社から購入することも可能です。エネルギー会社としては、なるべく両方セットで購入してもらいたいので、契約期間の縛りを設定して、毎月の請求額から割引したり、何ヶ月分無料にしたりと特典をつけて、顧客獲得を狙っています。日本でも携帯電話会社を定期的に乗り換える方がお得になったりしますが、オーストラリアでも様々な特典の恩恵にあずかろうと、契約するエネルギー会社を頻繁に変更する家庭が多いのです。

電力のソースを自由に選ぶ

携帯電話会社から出発したユニークなエネルギー提供会社「DODO」
携帯電話会社から出発したユニークなエネルギー提供会社「DODO」

 オーストラリアでは、自分で使う電気を発電したソースで選ぶことができます。例えば、化石燃料から作った電気(火力発電)を選ぶのか、風力や太陽光発電など再生可能エネルギーの電力を選ぶのかといったものです。
 とはいえ、どちらか一方を選択するというだけではなく、電力供給会社によっては「提供される電気の○%を再生可能エネルギーに」という感じで、利用者側が再生可能エネルギーの割合を決められるといった細かな選択肢も用意されています。
 このメニューは、キャンベラ首都特別区、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州、南オーストラリア州の各州政府が主導する「グリーンパワー・プロジェクト」と呼ばれる認定プログラムのひとつでもあります。
 石炭の埋蔵量が多く、世界有数の産出国でもあるオーストラリアでは、石炭火力による発電が主流です。しかし、石炭火力発電はCO2排出量が増え、環境への負荷が大きくなると世界的な批判を浴びていることもあり、オーストラリア政府は、広大な土地を利用した太陽光や風力、地熱やバイオマスなどの再生可能エネルギーによる発電にも積極的に力を注いでいます。
 とはいえ、自国で産出される豊富な石炭のほうがコストが安いため、再生可能エネルギーによる電力はどうしても高くなってしまっている現状は否めません。そこで、各家庭の事情に応じて、できる限り環境負荷の少ない再生可能エネルギーを手軽に選ぶことができるように、と考えられたのが、こうした再生可能エネルギーの割合を細かく選べる仕組みといえます。

携帯電話会社の参入で変わる電力の選び方

 電力自由化の波に乗って2010年に参入したのが、エネルギー事業とは無縁だった「DODO」という会社です。
 DODOは、もともと携帯電話のMVNO【2】事業者として、携帯電話とインターネットを提供するサービス・プロバイダーでしたが、現在ではこれ以外にも、ビクトリア州を中心とした電気とガス、有料テレビ視聴サービス、各種保険などへ事業内容を広げています。
 DODOでは、こうした様々なサービスをセットで利用する顧客に対し、割引特典の他、携帯電話会社から出発したDODOならではともいえるユニークなプランが設けられています。それが、携帯電話会社でよくある「何時~何時まで通話無料」というサービスを電気に置き換えた「朝の6時~7時の時間帯は電気無料」というプランです。
 ただ、このサービスは現在のところビクトリア州でのみの提供となっています。筆者が住むシドニーでは利用できないのが残念ですが、通信とエネルギーといった2大ライフラインを一元的に管理できることは、利用者にとってメリットが大きいのかもしれません。
 オーストラリアでは、燃料価格との兼ね合いや再生可能エネルギーへの投資、そして、様々な規制を順守しなければならないことによる環境税導入の現状などから、電気料金の値下げはほとんど期待できません。だからこそ、こうした付加価値サービスが注目されているともいえそうです。


脚注

【1】オーストラリアの電力自由化
 連邦制国家であるオーストラリアでは、州政府毎に政策が異なるため、もともと公共の電力会社が州政府の管轄下にあったことなどから、電力自由化を推進していない州もあります。
【2】MVNO
 通信インフラを自社で持たず、他社のインフラを借りてサービスを提供する事業者

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