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「自然を遊び、自然に学ぶ」バックナンバー

0022009.12.15UP「朝の海岸お散歩会」と「ウミホタル発光観賞会」

ウミホタルの里海 ~南房総・館山

休暇村前海岸から富士山
休暇村前海岸から富士山

 南房総・館山の海は、サンゴが生息する北限域であり、全国的に知られる“ウミホタル”の里海だ。周辺の海岸では様々な漂着物に出会え、海岸浴をしながらのビーチコーミング【1】が地元人だけでなく観光客にも密かな楽しみとなっている。
 今回は、南房総・館山の知られざる魅力を体験しよう。

朝の海岸お散歩会

朝のお散歩会で拾える貝殻
朝のお散歩会で拾える貝殻

 朝7:00、ロビーに集合し、目の前の海岸へ出発。

 海岸へ出ると、まずは潮の香りがお出迎え。朝の眠気も一発で消える。海岸植物のハマダイコン、コマツヨイグサ、ハマヒルガオなどが目の前に広がり、そのすぐ先に砂浜、そして館山湾が広がる。

 初めに海風浴【2】の説明をしながら、軽い体操。富士山・沖ノ島などの景色を眺めての海の説明と続き、いよいよ砂浜に下りてのビーチコーミングとなる。
 休暇村前の海は、岩場と砂地が混合した地形で、多くの生物が生息している。多種多様な貝類が拾え、大きさも1mmほどから30cmを超える大型の貝まで様々だ。
 中でも1番の人気はタカラガイ(宝貝)。日本では約90種、房総にも約50種みられ、大きさや模様・色あいなどを競い合うほど。「子安貝」と呼ばれて安産のお守りとされたり、昔は貨幣として使われたりもした。
 歩き始めてすぐ目に付くのが「多数の穴のある石」。カモメ貝などの穿孔貝が空けた穴で、中に貝が入っている場合もある。
 ガラスもよく落ちている。漂着しているガラスは角が取れ、磨りガラスのよう。これらはシーグラスと呼ばれ、ランプシェードやステンドグラスにも使われる人気の素材だ。
 その他、カジメなどの海藻の切れ端や、カメ、鳥、イルカ・マンタなどの動物の羽や骨、キクメイシ科のサンゴの欠片といった様々な漂着物も拾えて、多くの生物がこの海に生息している事を裏付ける。さらに、流木、海外のゴミ、ヤシの実、イルカ・動物・貝などの化石、縄文土器・石器なども漂着。3年前には小判(時価50万円ほど)も打ちあがった。

貝の宝石作り
貝の宝石作り

 約30分の海岸散歩が終わる頃には、ミネラルを含んだ潮風で体は温まり、手には数多くの「お宝」を抱え、気分も爽快になる。
 拾った貝は、夜のクラフト教室で貝の宝石やストラップの材料となる。海からの贈り物で世界に一つだけのアクセサリーができると好評だ。アクセサリーを作りながら講師の話を聞いて、参加者に海への思いを深めてもらうのもねらいだ。

ウミホタル(Vargula hilgendorfii)の発光観賞会

ウミホタルの発光
ウミホタルの発光

 館山の海は、波が静かで砂地が多く、エサも豊富で水がきれいなため、ウミホタルがたくさんいることで全国的に有名だ。
 ウミホタルは、海老などと同じ甲殻類に属し、成長すると3mmほどになる。外海に面した砂地の海にすんでいて、昼間は砂の中ですごし、夜になると砂の中から出てきて活動する。敵の来襲など刺激を受けると泳ぎながら2種類の発光液を出し、それらが海中で反応して光る。そのため、ウミホタルの泳いだ後が青白い光の糸のように見える。
 このウミホタルを採集して、参加者の目の前で解説を交えながら実際に発光させ、神秘的に青白く光るウミホタルを見ていただくのが、「ウミホタルの発光鑑賞会」だ。

 残念ながら、現在ウミホタルが採集できなくなって、観賞会は行えていない。原因は不明だが、温暖化(海水温の上昇)や桟橋の工事・開発で、ウミホタルの住処がなくなったためとも言われている。
 調査の結果、ウミホタルがまだ生息していることが確認されているが、発光鑑賞会を毎日開催するまでには至っていない。
 今後、海の大切さ・素晴らしさを伝えるために必要不可欠なこの「ウミホタル」が、またこの地に戻ってくる事を切に願っている。

ボートで近くの岩場に水を汲みに行く
海を歩いていて一番心が痛いのが、この風景。世界中で問題になっているが、ここ南房総・館山も例外ではなく、年々ゴミの量は増えていくばかり。何度清掃しても少し大風が吹くと、美しい海岸はごみ収集場に変貌する。

今回のナビゲーター・鈴木信也さん
今回のナビゲーター・鈴木信也さん

【1】 ビーチコーミング(Beach-Combing)
 ビーチコーミングは、『浜辺に落ちている漂流物を拾い集める』こと。「海岸(Beach)」で、櫛で髪の毛を「梳かす(Combing)」ように「くまなく探す」というニュアンスがある。
 漂流物は、貝殻のほかにも、流木や、角のとれたガラス(シーグラス)、ぬいぐるみ、布袋石(イルカの耳骨)や動物の骨、化石や縄文土器など。
 ビーチコーミングを楽しむ場所としては、
 (1)波が静かで穏やかな砂浜
 (2)黒潮などの海流の影響を受ける海岸
 などがよいとされる。
 これらの条件に、南房総・館山は見事に適合している。
 (1)館山湾は別名「鏡ヶ浦」。鏡のように波が穏やかで、海が光り輝いているというところからきている。
 (2)昔から黒潮は南方の動物や植物、そして人間の文化なども運んできた。館山周辺の海を覗いて見ると、きれいなサンゴが30種類以上も生息している。夏から秋の頃にはサンゴ礁にすんでいるカラフルな熱帯魚もみられる。これは館山湾の沖を黒潮が流れているからだ。
【2】 海風浴(海岸浴・海洋浴)
 海辺の気候は一般的に温暖で、陸地に比べて夏は涼しく、冬は暖かい。気候療法上の分類では「保護性気候」とされる。季節による寒暖の差・昼と夜の温度差が小さいため、水質のよい海に面した地域では、静養するのに適していることが多い。
 また、日中に海から陸に向かって吹く海風は湿気があり、塩分を含み適度な刺激があるので、海辺での大気浴は新陳代謝を活発にし、心肺機能を高めてくれる。海風は不純物が少なく清浄で、ミネラルを多く含んだ海塩粒子を内包しており、海塩粒子が呼吸や皮膚を通して体内に入ってくることで、鼻やのどの炎症・喘息などの呼吸器系の慢性疾患に効果を示す。
 海水には強食塩泉の温泉と同じような長時間の保温効果がある。波しぶきを浴びる波浪浴をすれば、血液の循環が促進される。海水や海底の泥は、身体にとって大切なミネラルを含み、海藻はヨードを含んでいるので皮膚の新陳代謝を促し、脂肪を分解する効果がある。
○タラソテラピー(海洋療法)
 海風浴・海岸浴・海洋浴のベースは、「タラソテラピー(海洋療法)」にある。海の恵みを利用して病気の改善や予防、健康づくりを行う健康法。
 「タラサ」とはギリシャ語で「海から」、「テラピー」はフランス語で「治療」を意味している。ヨーロッパの海浜保養地では、海水、海底の泥や砂、海藻などを健康増進、美容、治療に活用するタラソテラピーが盛んだ。ドイツでは、素足で波打ち際を歩くサンドウォーキングが、砂浜地形療法として行われている。
 日本では、海藻パックや泥パックなどの美容法と矮小化されることもあるが、本来のタラソテラピーは、あくまで海辺の地域で、海の資源を用いる自然療法。
 浜辺を歩いて塩分を含んだ大気の中で呼吸するだけでも海洋浴の効果が期待できるが、さらに健康目的の保養や療養を行うためには、水質のよい海に面したところであることが必要不可欠。また、近くに温泉があったり、豊富な海産物や新鮮な食材が手に入ったりすれば、海洋浴の素材と有機的に組み合わせて、より効果的な健康づくりが行える。

(休暇村館山 営業主任 鈴木信也)

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