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「フードバンクが“食”をつなぐ」バックナンバー

0052017.08.29UPフードバンクの経営-持続可能なモデルを目指して-

 前回のコラムでは食にまつわる市民活動を更に活性化する為には、衛生管理面など、食品寄贈やサービス利用における「安心安全」が必要不可欠である旨を書きました。
 では実際に活動が活性化し、食品寄贈者やフードバンク利用者が急増した際に、どのように事業を拡大させ、持続可能な運営モデルを構築していけるのでしょうか。

NPOの経営

 セカンドハーベスト・ジャパンは日本で初めて法人化したフードバンク団体で、特定非営利活動法人という法人格を持って活動しています。通称“NPO法人”と呼ばれていますが、この法人格は比較的新しい法人格で1998年にできた特定非営利活動促進法に基づいて制度化されました。現在50,000団体以上あるNPO団体のうち、多くは市民や企業からの寄付金、財団等からの助成金や行政の事業委託を受けて活動していますが、中には収益事業などを行い、その事業益で活動している団体もあります。
 フードバンクの活動は、“物を大量に取り扱う”という特徴があります。仮に全員がボランティアで活動するとしても、また常温品の食品だけの取り扱いであっても、食品を保管するための倉庫を用意しなくてはなりませんし、食品を集めたり必要な人の元に届けたりするための運送コストも無視できません。固定費がとても多くかかる取り組みなのです。
 営利組織として収益事業モデルを持って“フードバンク活動”を行なっている団体もありますが、現在国内で活動している大多数のフードバンク団体は非営利組織です。
 今回は、非営利組織としてのフードバンクの運営モデルをいくつか紹介します。

キッチンでの調理には、衛生環境を維持するために、ヘアキャップやマスクなど細かい出費も重なる。
キッチンでの調理には、衛生環境を維持するために、ヘアキャップやマスクなど細かい出費も重なる。

現在セカンドハーベスト・ジャパンでは10台弱の車両を保持しており、中でも冷蔵冷凍車は通常より維持管理費がかかる。
現在セカンドハーベスト・ジャパンでは10台弱の車両を保持しており、中でも冷蔵冷凍車は通常より維持管理費がかかる。

冷蔵品の取り扱いはコストがかかるが、需要も供給もとても多い。
冷蔵品の取り扱いはコストがかかるが、需要も供給もとても多い。

寄付/助成金モデル

 他のNPO団体と同様、フードバンク団体も多くは寄付金と助成金で活動を続けています。しかしアメリカと比べると日本の寄付市場は数十分の一と言われおり、寄付だけで運営を安定させることは非常に困難です。毎月自動的にクレジットカードから寄付金が決済される定期寄付者を増やして運営を安定させ、助成金を活用した新しいプロジェクトを試みるというスタイルが一般的になっています。ただし、助成金は用途が制限されているものが多く、人件費や家賃などの固定費には使えないことも少なくありません。
 厳しい要件を乗り越えて、寄付者の税金控除枠が拡大される認定NPOにステップアップする団体も増えていますが、認定が寄付者の増加に直結する訳ではなく、多くの団体が、翌年の運営の見通しが立たないまま手探りで活動を続けている状況です。
 なお、寄付はお金の寄付だけではありません。フードバンクでお願いする寄付には3つの形があります。「時間の寄付(ボランティア)」「食品の寄付」「お金の寄付」です。3つのオプションがある場合、やはり物や時間の寄付の方が、参加しやすいと感じる方が多いようです。

独立採算型フードバンク

 海外のフードバンク事業の中には、利用者が食品を受け取る際、市場価格の10%をフードバンク団体に支払う事で、団体の活動を維持する仕組みを取り入れているケースもあります。日本でも、“子ども食堂”の多くは子どもから100円~300円、大人から300円~500円を“参加費”として徴収し、運営維持費に充てています。同様に、フードバンク団体も食品を提供する際に経費を請求することもあります。
 ただし、金額設定についてはセンシティブで、請求する金額が実際にかかる経費より明らかに多ければ食品の転売と受け取られてしまうため、明確な理由づけと、説明責任を果たす必要があります。
 食品の寄贈先や寄贈元などフードバンクシステムの利用者に運営維持のための資金協力をしてもらう取り組みも広がってきています。昨今は、防災備蓄食品の寄贈が多いため、備蓄食品の寄贈を受ける際にオリジナルの防災備蓄セットを購入してもらうことで、運営維持費にあてるといった独創的なアイデアも出てきています。

今後の日本のモデルとなるのは…

 食品の寄贈や利用者は増え続けても、比例して事業を拡大するための寄付金が増えるわけではありません。一部地域では、フードバンク事業を行政がNPO団体に委託をする事で安定的な運営をしている地域もありますが、NPO団体が行政の下請け化してしまうことは市民活動の良さを失ってしまうという声もあります。
 理想的な形は、食品の寄贈と合わせて、食品を廃棄したりリサイクルしたりするのにかけている処理コストの半分でもフードバンクの活動費として資金面のサポートをいただくような風潮が出てくるか、もしくは食品を受け取る側でも節約できたと思われるお金の1割でも負担してもらい、フードバンクに関わる人たちそれぞれがシステム維持のための資金協力をして、活動を下支えすることです。
 また、利用する機会は少ないけれど、全員に開かれたサービスとして税金により維持されている交番や図書館のように、フードバンクの直接的な利用者でなくとも、潜在的な利用者も含めて社会全体でシステムを支えてくれるようになることが最も理想的と考えます。


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