【アメリカ】2020.03.16 発表
アメリカ航空宇宙局(NASA)は、グリーンランドと南極の氷床は1990年代の6倍のペースで融解しているとする研究を紹介した。研究は、「氷床質量収支の相互比較研究」(IMBIE)チームが26件の研究を統合して1992~2018年のグリーンランドと南極の氷床質量の変化を計量したもの。両氷床の融解量合計は、1990年代には年810億トンであったが、2010年代には年4750億トン、6倍となった。1990年代以降、累計6兆4000億トンの氷が消失した。氷消失量は、2010年に最高値5520億トンを記録したが、2019年の北極の熱波の影響による記録更新も予想される。氷消失をもたらす主要因は、南極では海温上昇による溢流氷河の融解であるが、グリーンランドではこれに加え気温上昇による氷床表面の融氷が等価で寄与していると考えられる。この間の融氷水によって、世界の海面は1.78cm上昇した。この上昇には、グリーンランドの融氷水が60%、南極の融氷水が40%の割合で寄与している。この傾向が続けば、融氷水による海面上昇分は2100年までに17cmとなる。海面上昇全体への融氷水の寄与率は3分の1で、世界の海面上昇はIPCC第5次評価報告書の最悪シナリオに沿って進行しているといえる。【アメリカ航空宇宙局】
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