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水・土壌環境

水質保全に対する取り組み

国及び地方公共団体の取り組み

水質汚濁防止法
水質保全の基本的な枠組みを定めたものが「水質汚濁防止法」である。 1970年の第64国会、いわゆる公害国会において、旧水質二法の実施を通じて得られた反省の上にたって制定された水質汚濁防止法は、公共用水域のすべてを対象として、特定事業場(特定施設を設置する工場、事業場)からの排水を規制するものである。また、その後の改正により水質総量規制の制度化、地下水汚染の未然防止などの制度化、生活排水対策の制度化が規定されている。
水質汚濁防止法に基づく従来の濃度規制だけでは水質環境基準を維持達成することが困難と認められる広域的な閉鎖性水域を対象にして水質の改善を図るため水質総量規制が制度化された。
当該水域に流入する汚濁負荷量の総量を効果的に削減するため、産業系、生活系など発生源別の削減目標量、それを達成するための方途などを定め計画的に実施しようとするものである。

 水質汚濁防止法に基づく濃度規制だけでは水質環境基準を維持達成することが困難と考えられる広域的な閉鎖性水域に関しては、「水質汚濁防止法」と「瀬戸内海環境保全特別措置法」とに基づいて汚濁負荷の総量を規制する「水質総量規制」が制度化されている。
水質総量規制
対象:東京湾、伊勢湾、瀬戸内海
規制対象水質項目:COD(化学的酸素要求量)
概要:内閣総理大臣が定めた総量削減基本方針に基づき、都府県ごとに知事が総量削減計画を定める。計画では発生源別の削減目標量および削減方法を明示する。
現在の状況:全般的に水質改善効果は現れているが、COD環境基準達成率の向上には結びつくまでに至っていないため、1996年1月に中央環境審議会水質部会において水質総量規制に関する答申が行われ、この答申に基づき環境庁では総量規制基準の強化に取り組んでいる。
「特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法」
水道水からトリハロメタンなどの有害物質が検出された例もあることから水道水および水道水源水域の水質の保全を図るためにとりまとめられたもの。
「瀬戸内海環境保全特別措置法」
閉鎖性水域であり、産業や人口の集中に伴って水質汚濁が急速に進行した瀬戸内海の環境を保全するために、当初は時限立法(期日を限った法律)として制定(1973年)された、のちに新たな施策を加え1978年に恒久化されたもの。
「湖沼水質保全特別措置法」(湖沼法)
水質環境基準の確保が緊急の課題となっている湖沼を指定し(指定湖沼)、総合的な対策を講じるために策定された法律で、水質汚濁防止法の規制に加え特別の規制措置を導入したものとなっている。現在、霞ヶ浦や琵琶湖など10湖沼が指定されている。
生活排水対策の推進
炊事、洗濯、入浴等の人の日常生活に伴い排出される生活排水は、公共用水域の水質の汚濁の主要な原因の一つとなっている。このため、水質汚濁防止法では生活排水対策の総合的推進に関して次のような規定を設けている。
  1. 生活排水対策に係る行政の責務の明確化
     市町村が生活排水処理施設の整備、生活排水対策の啓発等の実施を最前線に立って進めるほか、都道府県は市町村が行う生活排水対策の総合調整の役割を、国は知識の普及、地方公共団体が行う生活排水の援助の役割を担うことを明らかにしている。
  2. 生活排水対策に係る国民の責務の明確化
     国民の責務については、何人も公共用水域の水質の保全を図るため、調理くず、廃食用油等の処理、洗剤の使用等を正確に行うように心がけるとともに国または地方公共団体の生活排水対策の実施に協力することを法律上明文化し、また、生活排水を排出する者は生活排水の処理に資する設備の整備に努めなければならないとの規定を設けている。
  3. 生活排水対策の計画的推進
     生活排水対策の計画的推進については、水質環境基準が確保されていない等生活排水対策の実施が特に必要であると認められる地域を生活排水対策重点地域として都道府県知事が指定することとし、指定地域内の市町村は、生活排水処理施設の整備、生活排水対策の啓発を柱とする生活排水対策推進計画を策定し、それに基づいて対策を推進することが規定されている。
  4. 総量規制地域における排水規制対象施設の拡大
     総量規制に係る指定地域における排水規制対象施設を拡大するため、この地域においてのみ規制対象となる「指定地域特定施設」の制度が創設され、現在処理対象人員201~500人のし尿浄化槽が指定されている。
 以上の趣旨を踏まえ、一層生活排水対策を推進するためには、下水道、合併処理浄化槽、農業集落排水施設、コミュニティ・プラント等の各種生活排水処理施設の整備を地域の実情に応じて計画的に進めるとともに、各家庭から発生する汚濁負担を削減するため、住民意識の啓発、住民による実践活動の推進等の対策が進められている。
地下水汚染対策の推進
 地下水汚染の未然防止対策については、水質汚濁防止法に基づき、トリクロロエチレン等23項目の有害物質を含む水の地下への浸透の禁止、都道府県知事による地下水の水質の常時監視等の措置がとられている。
 平成8年6月の水質汚濁防止法の改正により、平成9年4月から都道府県知事が汚染原因者に対し汚染された地下水の浄化を命令することができることになった。また、平成9年3月には、地下水の水質保全を総合的に推進するため、地下水の水質汚濁に係る環境基準が設定された。さらに、地下水汚染に係る調査・対策を効果的かつ効率的に進めるための技術的な支援として、平成6年11月に「有機塩素化合物等に係る土壌・地下水汚染調査・対策暫定指針」が策定され、平成8年の水質汚濁防止法改正及び平成9年の地下水の水質汚濁に係る環境基準の設定、さらに、平成11年1月に有害物質23項目に関する「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針」として改訂が行われている。
 一方、近年、農作物の施肥や家畜排泄物、未処理生活雑排水の地下浸透等が原因と考えられる硝酸性窒素による地下水汚染が明らかになり始めているため、平成11年2月にほう素、ふっ素とともに、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が、公共用水域及び地下水の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準項目として追加された。

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