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酸性雨

酸性雨に対する取り組み

国際的な取り組み

長距離越境大気汚染条約(ウィーン条約)
1979年に国連欧州経済委員会(UNECE)において採択された条約で1983年3月に発効した。この条約では加盟各国に越境大気汚染防止のための政策を求めるとともに、硫黄などの排出防止技術の開発、酸性雨影響の研究の推進、国際協力の実施、酸性雨モニタリングの実施、情報交換の推進、などが規定されている。
ヘルシンキ議定書
長距離越境大気汚染条約に基づき、国連欧州経済委員会に属する21カ国が1985年に署名し、1987年9月に発効したもの。この議定書では、各国が1980年時点の硫黄の排出量の最低限30%を1993年までに削減することを定めている。
ソフィア議定書
長距離越境大気汚染条約に基づき、国連欧州経済委員会に属する25カ国が1988年に署名し、1991年2月に発効したもの。この議定書では、1994年までに窒素酸化物の排出量を1987年時点の排出量に凍結することを定めている。同時に新規の施設と自動車に対しては経済的に使用可能な最良の技術に基づく排出基準を適用しなければならないことを規定している。また、無鉛ガソリンの十分な供給も義務づけている。また、スイスを中心とした西欧12カ国では、 1989年から10年間で窒素酸化物の排出量を30%削減することを宣言している。

国及び地方公共団体の取り組み

東アジア酸性雨モニタリングネットワーク
東アジアにおける将来の人口増加や、石炭依存のエネルギー構造等を考えると、近い将来に酸性雨による悪影響が深刻な問題となる恐れがある。このため、東アジア地域における地域協同の取り組みの第一歩として、環境庁は、「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク構想」を提唱し、平成5年度から東アジア各国及び関係国際機関の専門家の参加を得て、東アジア酸性雨モニタリングネットワークに関する専門家会合を開催するなど、その実現に向けて努力してきた。
専門家会合での成果を礎に1998年3月、「東アジア酸性雨モニタリングネットワークに関する第1回政府間会合」が開催された。この会合では、活動の目的と内容、設立時期、組織や財政などネットワークの基本的なあり方について各国の意見の調整が図られ、暫定的な「東アジア酸性雨モニタリングネットワークの設計」が取りまとめられた。
ネットワークの目的
  • 東アジア地域の酸性雨の状況に関して共通の理解を形成すること。
  • 酸性雨の人の健康及び環境への悪影響の未然防止又は軽減を目的とした地方(local)、国(national)及び地域(regional)のレベルにおける政策決定過程に有益な情報を提供すること。
このネットワークは、1998年から約2年間の試行的な稼働の経験を踏まえ、2000年中頃に開催される予定の第2回政府間会合において設立されることとなった。

【図】東アジア酸性雨モニタリングネットワークの概要
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(出典:東アジア酸性雨モニタリングネットワーク)
酸性雨対策調査
  • 第1次酸性雨対策調査(1983年~1987年)
    日本においても酸性雨による影響が問題視されはじめたことから、全国の測定地点において降雨中のphの測定を行ったものである。この調査では多くの測定点でかなり酸性度の高い降下物が観測されている。
  • 第2次酸性雨対策調査(1988年~1992年)
    第1次調査の結果を踏まえ、酸性雨の実体やその生態系への影響を監視・予測するために総合的なモニタリング調査を実施したもの。この第2次調査の結果では酸性雨による明確な生態系への影響は確認できなかったが、引き続き酸性度の高い酸性降下物量が観測されており、将来、酸性雨による深刻な影響が現れる可能性があることが懸念されている。このため、引き続きモニタリングを継続するとともに、1990年に設けられた「地球環境研究総合推進費」等により酸性雨に関する調査・研究の充実が図られている。
  • 第3次酸性雨対策調査(1993年~1997年)
    第3次酸性雨対策調査の取りまとめによれば、調査期間中のphは4.8~4.9(年平均値の全国平均値)で、第2次調査の結果とほぼ同じレベルの酸性雨が観測され、これまで森林、湖沼等の被害が報告されている欧米と比べてもほぼ同程度の酸性度となっている。酸性雨による生態系への影響は現時点では明らかになっていないが、このような酸性雨が今後も降り続ければ、将来影響が現れる可能性もある。また、東南アジアでは、経済発展に伴い硫黄酸化物、窒素酸化物の排出量が増大しており、酸性雨による悪影響の未然防止のための国際的な取り組みを進めることとしている。 なお、1998年~2000年までの3ヵ年計画で第4次酸性雨対策調査を開始している。
【図】日本の酸性雨の現状
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その他の取り組み

米国SO2排出量取引
米国では、1990年改正大気浄化法に基づき、1995年1月1日から発電所に対する二酸化硫黄(SO2)及び窒素酸化物(NOx)の排出削減計画が開始された。この改正大気浄化法は、都市のスモッグ対策や酸性雨対策に重点が置かれている。
法の中で規制の対象となる発電所には毎年「排出権」が割り当てられ、発電所は排出権保有量内に排出量を抑えるか、他の発電所から不足分を購入するという市場メカニズムを活用した排出量取引制度が定められた。
SO2の削減計画は2段階(フェーズI、II)に分けて規制を行うもので、フェーズIが開始された1995年時点で、1990年と比較して大幅な削減効果が見られた。

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