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「週末は森で暮らす」バックナンバー

0042016.02.16UP私のツリーハウス体験

初めてツリーハウスに泊まった夜


豊かな自然とツリーハウス

 今までツリーハウスを、仲間や大工さんと5棟作っていますが、最初に泊まったツリーハウスは屋根がないタイプでした。
 4帖ほどの広さのデッキから、ミズキの太い四本の幹が、漆黒の夜に空高く伸びています。その日は、ミズキのまわりに濃い霧が立ちこめていましたが、長い間の懸案だったので、思いきって寝袋で一晩過ごすことにしました。季節は、秋がはじまったばかりで、夜でもまだ暖かな頃です。
 デッキを奇麗に掃除して、銀マットを敷けば、寝る準備は完了です。上着を枝にかけようとして、なにげに幹に手を触れたとき、びっくりしました。冷たい水が飛び散ったのです。よく見ると細いながら、幾スジもの水の帯ができて、流れ落ちています。
 不思議です。濡れているのは黒い幹だけで、デッキの床は乾いています。とりあえず寝袋に入って、モノトーンのこんもりした樹形を見上げました。すると、またまた、不思議な現象に出会いました。
 一枚一枚の葉裏に、白い点々が付いています。良く目を凝らすと、それは何かの幼虫のようです。その様子の何が不思議かと言うと、実は、一枚の葉に、きちんと一匹の白い虫だけが取りついているのです。一枚の葉に二匹が同居している例は見つかりません。どうしてそうなっているのでしょう?
 いろいろ考え始めたら眠れなくなるのが普通ですが、深い闇から、なんだかわからないさまざまな音や芳醇な香りが押しよせてきて、静かな海の波打ち際で横になっているような気分になって、その夜は、すぐに深い眠りへと落ちてしまいました。
 朝は、突然にやってきました。鳥のやかましい鳴き声に起こされたのです。目を開けると、朝日を浴びて、ミズキに豊かな色彩が戻っていました。
 ミズキの上の方でさえずる鳥の声は一種類でなく、様々な声が混ざっているようです。しかし、私が目を覚まして、起き上がろうとした瞬間、一斉に飛び立ってしまいました。
 もしかすると、あの鳥たちは、私の身体が朝飯に適しているかどうか、ミーティングをしていたのかもしれませんね。

ツリーハウスで触れた森の仕組み


ツリーハウスのデッキ

 ツリーハウスに泊まって半年も経ってからですが、二つの不思議体験に私なりの解釈ができるようになりました。
 ミズキの大木にはおびただしい数の葉がついています。その樹形は、ケヤキの木のように上方に向けて伸びています。従って、無数の葉に付いた水滴は、小枝を伝わり、さらに太い枝から中心の幹へ集まってくるので、見た目にもはっきりとした水の流れになるのです。その水は、大地の下で網の目のように張りめぐらされた根まで、いち早く届けられる仕組みになっているのでしょう。
 その図式は、ちょうど、いくつもの細い支流を集めて、少しずつ大きな川に育ち、やがて海に流れ込む河川のモデルと全く同じです。

 一枚の葉に虫が几帳面に、一匹ずつ身を寄せることにも、納得いく説明ができるようになりました。
 一般的に樹木の葉は落ちやすくなっています。少し強い風が吹くと葉が舞っているのを良く見かけると思います。樹は、少しでも虫に食われたりして、傷んだ葉をいち早く切り離そうとするからです。
 一枚の葉に何匹も虫が取りついてしまうと、葉が落ちやすくなります。虫は地面に落ちると、蟻などの捕虫生物の餌食になって生きながらえません。つまり、樹と虫それぞれが生き延びるためにせめぎ合った結果、あのような陣取り模様になったと思われます。

ツリーハウスは地球モデル


デッキから空を見上げる

 〈ユグドラシル(世界樹・宇宙樹)〉という架空の木が、北欧神話に登場します。その神話の中で宇宙樹は、天上と地上と地界を結び、人間だけでなく、巨人や鷲、鷹、蛇、鹿、山羊など様々な生き物に住処を与える宇宙モデルとなっています。
 去年の5月の連休に、7年ぶりに、同じツリーハウスに泊まることにしました。前回は秋でしたが、今回は初夏で、樹々の生命力が一番高まっている季節です。そのときは、何日も五月晴れが続いていて、爽やかな森の時間を期待できそうでした。見上げると、葉裏にも虫は全く見当たりません。夜空には星がいっぱい輝いています。
 ところが、寝袋に入り寝ようとすると、ポツポツと雨だれが落ちるような音がします。一度寝袋から這い出て、樹間から空を見上げると一面の星空です。葉が落ちる音かと思いながら目を閉じると、アッという間に寝入いってしまいした。今回も、朝は鳥たちのさえずりで起こされました。
 目を覚ますと、顔の表面が突っ張っているのに気づきました。髪に手をやるとゴワゴワしています。寝袋の上には、無数の斑点がついています。樹の生長期だったので、ミズキの樹液が夜通し降り注いでいたようです。ミズキは水木と表記されるように、もともと非常に樹液の多い木なのです。

 地球上のあらゆる樹木は、天空から落ちてきた雨水を、根から吸い上げて、一枚一枚の葉から放射して、絶えず地球の水と空気を浄化し続けています。明け方の山を覆う白い靄(もや)は、樹々の葉から一斉に立ちのぼる水蒸気のもとになっています。
 ツリーハウスは、私たちが一番簡単に触れることができる〈地球モデル〉なのです。


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このレポートへの感想

水木の下で寝てみたい。
(2016.02.23)

最近は、すぐ近くにある森にも足を運ばなくなった住民(私も含めて)が増えています
もっと自然に触れて生きたいですね。
(2016.02.23)

森に行きたくなりました!
(2016.02.17)

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  1. 001「森に育てられた私たち」
  2. 002「森に棲む家」
  3. 003「森で聞くJAZZ」
  4. 004「私のツリーハウス体験」
  5. 005「オオカミの森」
  6. 006「森のシンフォニー」

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