【研究機関】2023.09.26 発表
世界気象機関(WMO)は、2023年の南極冬季の海氷面積はこの時期として史上最小であったと発表した。南極の海氷面積は、9月10日に2023年冬の最大値に達したが、この値は長期平均(1981~2010年の平均)を175万km2と大きく下回る。月平均海氷面積は、9月だけでなく1月、2月、5月~8月も史上最小であった。
海氷面積が減少を続ける北極の一方で、比較的安定しているとされていた南極も、2017年以降、ウエッデル海からロス海に至る地域(太平洋最南端域)で減少傾向にある。原因は、南極海の海面水温と東南極の気温の異常な上昇とこれ関連する南極全域の大気循環の変化と考えられている。南極半島は世界でも最速で温暖化が進む地域のひとつで、この50年間で平均気温は3℃上昇した。
研究者は、過少な海氷面積が、標準偏差の3倍と長期平均から大きく乖離して継続していることをとりわけ問題視し、地球システムの変容を警告している。野生生物への影響はすでに明らかで、皇帝ペンギンの繁殖地の90%以上が21世紀末にほぼ消滅と予測される。
【世界気象機関】
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