【研究機関】2021.10.25 発表
世界気象機関(WMO)は、「温室効果ガス年報」第17号を発表した。それによると、2020年に、大気中の二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)の世界平均濃度はそれぞれ413.2ppm、1889ppb、333.2ppbで、いずれも観測史上最高値を更新した。工業化以前比では、それぞれ149%、262%、123%となる。年上昇率は、いずれも最近10年間の平均年上昇率を上回った。CO2は長寿命なため、排出実質ゼロが急ぎ達成されても高温傾向は数十年継続する。新型コロナウイルス感染症流行による経済停滞の影響はほとんどみられなかった。
「年報」は冒頭で、海洋と陸上生物圏の吸収源としての能力の持続に懸念を示す。干ばつ、森林火災の多発・大規模化は、陸上生物圏の吸収能力を減退させ、海面水温上昇、酸性化、深層循環の変化は海洋の吸収能力を減退させる。すでにアマゾンの一部は吸収源から放出源に変化したという。吸収源の減衰は、排出削減約束の達成時期や規模の見直しを迫るものとなる可能性がある。
【世界気象機関】
https://public.wmo.int/en/media/press-release/greenhouse-gas-bulletin-another-year-another-record
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