【国連】2021.01.14 発表
国連環境計画(UNEP)は、「適応ギャップ報告書2020年版」を公表し、気候変動への適応策を早急に強化しなければ深刻な人的・経済的損害が出ると警鐘を鳴らした。報告書によると、世界の国の72%が国家としての気候変動適応計画を策定しているものの、特に開発途上国で資金調達が追いつかず、プロジェクトを遂行して実際に干ばつや洪水などの気候変動リスクを低減できる段階には至っていない。途上国の適応コストは年間で推計700億ドルであるが、これが2030年には同1400億~3000億ドル、2050年には同2800億~5000億ドルに達するとみられる。このため、官民融資を早急に増やし、より迅速に適応プロジェクトを実施することが必要だという。さらに報告書は、気候変動への適応には生態系の保護・管理によって回復力を高める「自然を生かした解決策(NbS)」が欠かせないと指摘する。これは、気候リスクを軽減する低コストの方法であるだけでなく、生物多様性や地域社会にも便益がある。しかし、4つの主要気候開発基金による気候変動の緩和と適応への累積投資額940億ドルのうち、NbSへの投資は120億ドルにすぎず、今後資金を振り向ける必要がある。
【国連環境計画】
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