【研究機関】2020.09.09 発表
世界気象機関(WMO)は、2019年に続き、関係国際機関からの気候変動に関する最新の知見を報告書「科学で結束(United in Science)2020」としてまとめた。2020年の化石燃料起源のCO2排出量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による経済活動の縮小により2019年比で4~7%減少する見込みだが、減少は一時的で、経済活動の再開に伴い流行前の水準に戻りつつあるという。メタンの排出はこの10年間増加を続けている。CO2は長期間残存するため、2020年の排出減の大気中CO2濃度への影響もわずかで、濃度上昇は継続する。気温も上昇を続け、2016~2020年の世界の平均気温は2011~2015年より0.24℃高い史上最高(5年平均)となる見込みである。また、北極海氷の縮小、氷床・氷河の消失、海洋水温の上昇、海面水位の上昇など海洋と雪氷圏の変化は水循環に大きな影響を与え、洪水と水不足のリスクが上昇している。さらにCOVID-19対応で航空機等による観測や定期調査が実施できず、気象予報の質が低下し必須気候観測要素の時系列データに欠落が生じた。国連事務総長は、COVID-19流行からの回復をよりよい未来を築く契機とすべきと呼びかけている。
【世界気象機関】
Copyright (C) 2009 ECO NAVI -EIC NET ECO LIFE-. All rights reserved.