【国際機関】2020.04.09 発表
世界気象機関(WMO)は、2020年春季に北極の多くの地域においてオゾン全量の史上最小値を観測したと発表した。北極では、オゾン層破壊の起こる極渦が安定しないため、南極のような大規模なオゾン層破壊は通常起きない。しかし2019~2020年冬季は、極渦が強く長期にわたったため、北極成層圏の気温は南極レベルまで低下し、広範囲の極域成層圏雲が発生してオゾン層破壊の化学プロセスが進んだ。オゾンを補給する低緯度地帯からの風を妨げる大気条件も要因となった。WMOと国連環境計画(UNEP)による「オゾン層破壊の科学的評価」報告書(2018年)によると、モントリオール議定書に基づく取組みにより、たとえば極域外の上部成層圏オゾン層は2000年以降10年ごとに1~3%回復しており、2060年までに南極も含め完全に回復するという。しかし、オゾン層破壊物質は大気中に長期間残留するため低温等の条件とあいまって時に重度のオゾン層破壊が起こる。対照的に、2019年の南極のオゾンホールは、記録史上最小であった。【世界気象機関】
https://public.wmo.int/en/media/news/arctic-ozone-depletion-tracks-record-levels
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