【国連】2015.10.14 発表
国連環境計画(UNEP)の国際資源パネル(IRP)は、新たな報告書「国際資源貿易−生物物理学的評価」を発表した。報告書によれば、各国の国際貿易への依存度は増しており、1980年から2010年の間に貿易量は2倍超、貿易額は6倍超に増大したという。この増加で、資源集約的なプロセスとそれに伴う環境負荷が発展途上国に移っている。国際貿易は、資源へのアクセス向上などの利点がある一方で、世界規模での消費や生産の増大による汚染や資源の枯渇といった環境影響をもたらす。世界中で採掘・消費される資源のうち直接貿易で取引されるのは15%だが、その生産過程で使用される資源を含むと貿易に関わる資源の割合は40%に上昇する。また高所得国に加え、中国などの新興経済国も資源輸入国へと転じている。その結果、世界の貿易システムは少数の輸出国に依存することになり、供給途絶への脆弱性が増している。さらに、貿易量の増加、エネルギー投資利益率(EROEI)の減少などにより、貿易が必要とする上流資源も増大している。報告書では、貿易量拡大に伴う資源の乱開発や環境破壊などに対処するために、新たな環境政策や協定の策定が必要であるとしている。【国連環境計画】
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