東京湾、伊勢湾、大阪湾及び福岡湾並びにこれらの沖合海域における化学物質の分布状況は、重金属類については湾奥部で濃度が高く、湾口に向かって減少する傾向が認められ、有機塩素化合物については、湾奥部の底質において高濃度であった。また、プラスチック類等の分布状況は、表層については東京湾及び伊勢湾では湾口部が最も多く、次いで湾奥部で多く認められるとともに、日本海及び福岡湾沖については、沖合においても多数分布していた。また、底層においてもプラスチック製品や金属やガラス類、漁具・釣具などがみられた。
また、海洋汚染調査の結果、我が国の周辺海域、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」(以下「海洋汚染防止法」という。)に定めるA海域、閉鎖性の高い海域等における、海水及び海底堆積物中の油分、PCB、重金属等については、例年と同様な濃度レベルで推移していることを確認した。
また、平成11年の我が国の周辺海域における、廃油ボールの漂流・漂着に関する調査の結果、漂流及び漂着した廃油ボールの調査1回当たりの平均採取量は前年に比べ増加した。
さらに、平成11年の海上漂流物の目視による調査の結果、確認された漂流物の約61%を発泡スチロール、ビニール類等の石油化学製品が占め、それらは九州西岸及び本州南岸海域で多く認められた。
一方、最近5か年の我が国周辺海域における海洋汚染の発生件数は1-2-6表のとおりで、平成11年は589件と平成10年に比べ108件減少した。平成11年の油による汚染を排出源別にみると、船舶からのものが257件と大半を占めており、原因別にみると取扱不注意によるもの85件、故意によるもの 82件、海難によるもの75件となっている。また、油以外のものによる汚染についてみると、陸上からのものが141件となっており、そのほとんどが故意によるものである。
平成11年の観測によると、水銀及びカドミウムは例年と変わらない濃度レベルで推移しており、廃油ボールも昭和57年以降低いレベルにある。また、プラスチック等の海面漂流物は日本近海の春から秋に高密度に分布している。
海洋汚染の海域別発生確認件数の推移
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