【ドイツ】2021.12.07 発表
ドイツ連邦環境庁(UBA)は、生活条件の違いによる環境への影響に関する調査結果を公表した。この調査は、収入や年齢、居住地の規模、教育レベルの違いが、温室効果ガス排出量、土地利用、水消費、資源利用にどのように影響を与えているか調べたもの。これによると、高収入の人は運転の機会が多く、飛行機にも乗り、より広い居住空間を使用することから環境への負担が大きいことが示された。そのため、気候目標の達成と原材料や土地の消費削減を進めるためには収入の増加と環境汚染の連鎖を打破し、環境に配慮した製品と消費活動に対するより強力なインセンティブが必要であるとしている。特に、環境に有害な移動手段はより高価となり、環境に配慮した移動はより安価で魅力的なものになる必要があるものの近年の傾向はその逆であるという。2010年から2018年にかけて、地方公共交通機関に掛かる費用は自動車の使用費用の2倍以上に増加しており、この分野において、高収入者は低収入者のほぼ3倍の温室効果ガスを排出していることが指摘されている。
また、高齢者がいる世帯は他の世帯よりも通常は居住空間が広く、それに関連して電気と暖房の消費量が多くなり気候への負担が大きいとしている。一方で、交通部門では、高齢者は移動が少なく、環境汚染への負担は低い傾向にあり、この部門の温室効果ガスの排出量は年齢とともに減少している。また、教育レベルの高い世帯では、教育レベルの低い同等の世帯よりも約10パーセント多くの温室効果ガスを排出している。これは主に、大学の学位を持つ人の方が飛行機で移動することが多いことからであり、一方で、自動車の利用は収入に関係なく、温室効果ガス排出量が最も多いのは主に中等教育レベル(最終学歴が実科学校やギムナジウム卒)の世帯となっている。さらに、土地利用においても収入との相関関係が示された。ここでは、建築物の面積といった直接的な土地利用と移動や衣服住の消費に関わる土地利用が考慮され、低所得世帯が必要とする土地消費は年間約914平方メートル、高所得者世帯では年間約1472平方メートルとなった。また、50万人以上の人口を持つ大都市における世帯の土地利用は、最大10万人の人口を持つ小都市よりも約30%少ないことが分かった。
調査結果「収入差による資源消費への影響」は連邦環境庁ホームページに掲載されている。
【ドイツ連邦環境庁】
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