【国際機関】2020.06.10 発表
国際エネルギー機関(IEA)は、天然ガスの市場報告書で、2020年のガス需要がコロナ危機と北半球の暖冬の影響で4%減少し、史上最大の落ち込みになるとの見通しを示した。減少量は1500億m3と予想され、これは2008年の世界金融危機後の減少量の2倍だという。
報告によると、2020年6月上旬時点で世界の主要ガス市場すべてで需要低下や成長不振が見られ、同年は欧州や北アメリカ、アジアの成熟市場が最も落ち込み、減少量全体の75%を占めると予測。2021年は反動が予想されるが、コロナ危機前の状況まで急回復することはないという。2021年以降、ガス需要は中国やインド等で増加するが、需要増加は工業製品の国内・輸出市場の回復ペース次第であり、コロナ危機の影響で2025年までに年750億m3の需要減少となると分析。これは2019年の世界需要の増加量に等しい。
供給の増加要因であるアメリカのシェール、中東・ロシアのガス事業も、石油価格の下落と短・中期的需要動向の不透明感の圧力下にある。新たな生産・インフラ事業の操業開始は過剰能力と低価格を招くと予想され、世界的な安定供給に必要となる今後の投資が危ぶまれるという。【国際エネルギー機関】
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