【研究機関】2019.12.06 発表
世界資源研究所(WRI)によると、14か国の首脳が参加する「持続可能な海洋経済ハイレベルパネル」はマドリードで開催中の国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)において、気候変動が海洋経済に与える影響を分析した文書を公表した。文書は海洋が生む収益と雇用の主要な3分野(サンゴ礁観光業、天然魚の捕獲漁業、海面養殖業)について、気候による影響を評価している。気候が引き起こす海洋の健全性低下は、世界経済にとって2050年には年間4280億ドル、2100年には1兆9790億ドルのコストになるという気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による推定を基礎に、文書ではさらに分析を加えている。例えばサンゴ礁観光業は年間358億ドルを生む産業であるが、気候変動が弱まらなければ2100年には90%超の収益減少が予測される。また将来の気候シナリオのもとで海水の温度と酸性度が変化すると、魚類の移動が発生し、漁業資源の減少や漁業資源を巡る対立が生じる恐れがあるという。文書は、将来を見据えた協調的で衡平な対応を呼びかけており、炭素排出を抑制する行動と海洋資源管理の適応的アプローチが今すぐに必要だとしている。【世界資源研究所】
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