【国連】2017.08.16 発表
2017年8月16日、水銀汚染から環境と人の健康を保護するための初の国際条約である「水銀に関する水俣条約」が発効した。74の締約国は、採掘から貯蔵、使用、処分までのすべての段階で水銀と水銀化合物の放出の削減に取り組むことを法的に義務付けられる。
水銀は、脳、心臓、腎臓、肺、免疫系に障害をもたらすことのある重金属で、環境中での残留性、生物体内への蓄積性がある。少量の曝露でも危険があり、解毒や治療の方法もないため、回復不可能な健康障害を引き起こすことが多く、特に胎児や乳児、汚染魚を食べる人などが被害を受けやすいとされる。アジア太平洋地域の妊娠可能年齢女性の水銀汚染状況を調べた2017年の調査では、魚食の多い太平洋地域の女性の96%に水銀汚染の強い痕跡があったという。年間最大8900トンが排出されており、石炭燃焼と金の小規模採掘・加工が大きな排出源になっているほか、塩素や一部プラスチックの製造、ごみ焼却、実験室や薬剤なども排出源とされる。
条約には、汚染低減のための事業を支援する金融メカニズムも設けられた。条約の名称は、工業廃棄物による海の水銀汚染で多くの人が苦しんだ、水俣病に由来する。第1回締約国会議は9月にジュネーブで開催される。【国連環境計画】
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