【研究機関】2016.10.06 発表
世界資源研究所(WRI)は、アマゾン地域の先住民の土地所有権を保証することが気候変動の緩和につながるとする報告書を公表した。先住民には自然資源を賢明に利用してきた長い歴史があり、ボリビア、ブラジル、コロンビアでは、先住民が保有する森林はそれ以外の森林と比べ年間の森林減少率が平均3分の1から2分の1程度にとどまったという(2000~2012年)。先住民の土地所有権を保証すると炭素排出の削減や生態系サービスの保護につながり、今後20年間でブラジルだけでも5230億~1兆1650億ドル相当の利益があると見込まれている。アマゾン地域における土地所有権保証のコストは森林1ヘクタール当たり年間わずか数ドルで、炭素回収貯留などの他の気候緩和措置よりもコスト効果が高い。しかし、パリ協定実施のために提出された197か国の国別約束(NDC)のうち共同体の土地所有権に言及しているのは21か国にすぎず、土地所有権の保証を進めるための数値目標を設定しているのはカンボジアのみ。WRIは気候変動の緩和へ向け、先住民の土地所有権を保証することの価値を認識する必要があるとしている。【世界資源研究所】
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