欧州委員会は、EUが世界的に進むエネルギーの移行に対応し、起こり得るエネルギー供給の途絶に備えるため、必要な提案をまとめたエネルギー安全保障の政策パッケージを公表した。このパッケージは、欧州委員会が優先課題の一つとしているエネルギー同盟戦略の一環であると同時に、2015年12月の国連気候変動パリ会議で採択された気候変動に関する新たな国際合意を反映したものでもある。パッケージには、エネルギー需要の低減、再生可能エネルギーを含むエネルギー生産の拡大、機能的な統合型域内エネルギー市場の形成、エネルギー源や供給経路の多様化などが含まれている。
　具体的戦略の一つとして、冷暖房（温熱・冷熱）部門の脱炭素化が挙げられている。建物の冷暖房や産業部門で使用される温熱・冷熱はEUのエネルギー消費量の半分を占めており、その75％は化石燃料を使用しているという。この戦略では、冷暖房部門の脱炭素化の障壁を取り除き、エネルギー効率化と再生可能エネルギーの利用を推進する。【欧州委員会】