オゾン層を保護するための国際的な取り決めであるモントリオール議定書に基づいて、オゾン層を破壊するフロン類の製造が禁止されてきています。これら特定のフロン(CFC)の代わりに開発されたのが、フロンと同等の性質を持ち、かつオゾン層の破壊能が低い/またはまったくない、いわゆる代替フロン(HCFCやHFCなど)です。1995年末に生産全廃となったフロンから、急速に切り替わっています。
こうした対策の結果、1990年頃まで増加傾向にあった特定フロンの下層大気中濃度は北半球中緯度では減少に転じてきているとの報告もあります。
一方、フロンはオゾン層破壊の原因物質であると同時に、地球温暖化の原因となる温室効果ガスであることもわかっています。しかも、地球を暖める効果は二酸化炭素の数百~1万倍以上もある、強力な温室効果ガスなのです。
代表的な代替フロンの一つである、ハイドロフルオロカーボン(HFC)は、オゾン層を破壊することはないという意味で「環境配慮型」と称されています。しかし、強力な温室効果ガスとしての性質を有し、気候変動防止のための国際的な取り決めである京都議定書において、削減対象ガスとなっています。私たちの身近なところでは、冷蔵庫、エアコン等の冷媒に使われるほか、ほこりを吹き飛ばすダストスプレーや発泡剤などにも使われています。
これらのHFCを大気中に放出させないためには、HFCが封入されたスプレーは購入しない、冷媒にHFCが封入されている家電製品は適正な処理を行う業者に引き取ってもらうなどの取り組みが必要です。
モントリオール議定書で禁止されたクロロフルオロカーボン(CFC)については、製造は中止されたものの、現在使用中の製品の中にはまだまだ多く使われており、その回収・破壊が課題となっています。さらに、代替フロンと称されている物質のうち、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の場合、CFCほど強力ではないものの、オゾン層を破壊する性質を持っています。モントリオール議定書ではHCFCは2020年に全廃というスケジュールになっており、日本では2004年から大幅な生産削減が開始されます。
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