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「自然エネルギー生活」バックナンバー

0062010.05.25UP地域のエネルギーを地域で創ろう!

地域のエネルギーを知る

 自然エネルギーを中心になるべく自給する地域社会をつくる上での第一ステップは、自分たちの住む地域にどのぐらいの自然エネルギー資源があるのかを知ることです。現在、多くの地方自治体が「地域新エネルギービジョン」を策定しており、それらを見ると地域のエネルギー需要がどれだけあって、どのような自然エネルギー資源のポテンシャルがあるのかを知ることができます。
 ただし、これはあくまでも現在どうなっているのかを調べたものであり、「どうやって自然エネルギーを増やすのか」については触れられていません。そこで、次のステップです。

地域での実践方法を知る

保育園の屋根に取付中の太陽光パネル
保育園の屋根に取付中の太陽光パネル

 第二のステップは、地域での自然エネルギー事業の実践方法を知ることです。これまでの『自然エネルギー生活』の連載で紹介してきたように、自然エネルギーにはさまざまな導入方法があります。
 例えば、自分の家の屋根に太陽光パネルや太陽熱温水器を導入することが可能であれば、自治体が設置補助を出しているかどうかを調べてみましょう。自分の家での導入が難しいのであれば、会社や学校などで「グリーン電力」を導入できるかどうか調べてみましょう。他にも「市民出資」による自然エネルギープロジェクトに出資するという方法があります。
 さらに、大きく一歩踏み出して、地域の自然エネルギー事業会社を起業するという方法もあります。地域のさまざまな人々とコミュニケーションをとりながら、経済的・政治的・技術的・文化的なハードル[註]をひとつひとつ乗り越えていく必要があり、それは決して容易なことではないのですが、地域経済の活性化や雇用創出など、多様なメリットを地域に生み出す可能性があります。

おひさま進歩エネルギーの挑戦

 2005年から長野県飯田市で市民出資による太陽光発電事業を行っている「おひさま進歩エネルギー株式会社」の取り組みは、地域の住民、事業者、行政が実践に伴うさまざまな課題を乗り越えてエネルギーの地産地消に取り組んでいる良い事例です。  例えば、事業を進める上で、公共施設の屋根上の使用期間の問題に直面したことがありました。市民出資によって事業を成立させるためには、どうしても20年間の屋根上使用許可が必要でしたが、一般に公共施設の屋根上などの行政財産の使用許可は10年間で、電力購入契約を含む20年間の屋根上使用許可は、市にとっても前例のないものでした。
 しかし、市長、行政、おひさま進歩エネルギー株式会社が協議を重ねた結果、無事20年間の契約が成立し、“全国初”の市民出資による太陽光発電事業がはじまりました。

おひさまのエネルギーについて園児にパネルで楽しく説明(飯田市・明星保育園)
おひさまのエネルギーについて園児にパネルで楽しく説明

おひさまが発電していることがひと目でわかるパネルを指さす園児たち(飯田市・明星保育園)
おひさまが発電していることがひと目でわかるパネルを指さす園児たち
(どちらも、飯田市・明星保育園)

当事者として関わる

飯田市の看板には「文化経済自立都市」という大きなスローガンの下に「環境文化都市」の言葉も
飯田市の看板には「文化経済自立都市」という大きなスローガンの下に「環境文化都市」の言葉も

 前例のないさまざまな課題が現れてくる中で、おひさま進歩エネルギーの地産地消型エネルギー事業を成立させることが可能になった背景には、事業に関わる人たちの地域社会への思いがあります。
 飯田市では、早くから「環境文化都市」を市の基本構想に掲げ、近年はさらに一歩進んだ「文化経済自立都市」として地域社会の自立を真剣に考えてきた経緯があります。おひさま進歩エネルギー社長の原亮弘さんも「温暖化問題と地域の自立を真剣に考え、問題を次の世代に残さないように」との思いから、取り組みをはじめました。
 また、保育園や幼稚園に太陽光パネルを設置したことで、子どもたちのエネルギーへの意識が高まり、家庭での省エネ行動が促進されているそうです。
 地域の自然エネルギーを創り出すうえでもっとも重要なことは、そこに住む人たちが地域のことを知り、地域の取り組みに当事者意識をもって関わることなのです。

(環境エネルギー政策研究所 フェロー 古屋将太)

[註]

  • 「政治的」ハードル
     事業推進にあたり、地域の関係者が必ずしも協力的でないことがあったり、場合によっては反対することもあるということです。本コラムで紹介している「おひさま進歩エネルギー」は、その「政治的」ハードルを乗り越えたエピソードのひとつです。
  • 「文化的」ハードル
     地域で共有されている価値観や規範が、「自律分散型」という自然エネルギー技術がもっている性格となじむ場合は、導入促進につながることがあります。逆になじまない場合は、目に見えないかたちで導入を妨げる要因になってしまうことがあります。
     実際のところ、日本の地方の多くはこの数十年の間、公共事業に依存してきた結果、「中央依存体質」になってしまっている部分があり、それが導入を失敗させる要因になっているところもあります。
     例えば、自治体が主体となって行った事業の中には、調査や事業計画を中央のコンサルタントに完全に任せてしまい、自分達の地域の問題として検討できなかったために失敗した事例も散見されます。

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