PCB
[ ピーシービー ]
ベンゼン環が2つつながったビフェニル骨格の水素 が塩素で置換されたもの。置換塩素の数と位置によって計算上209種の異性体が存在。市販PCB製品はPCB異性体の混合物。
1881年にドイツのシュミットとシュルツによって初めて合成され、日本では1954年に鐘淵化学工業が「カネクロール」の商品名で、1969年には三菱モンサント(現三菱化学)が「アロクロール」の商品名で生産を開始。
これらは熱安定性、電気絶縁性に優れ、トランス、コンデンサー、熱媒体、ノーカーボン紙に用いられた。しかし、PCBは難分解性で、生体に蓄積する。熱媒体として使われたPCBが製造過程で米ぬか食用油に混入し、それを食べた人に皮膚障害、肝機能障害などの油症を発症したカネミ油症事件(1968)が起こり、その毒性が注目された。
現在、PCBの製造・輸入は原則的に禁止され、事業者の保管するPCBの廃棄処理が決められている。
なお、ビフェニル基に置換する塩素の位置によって2つのベンゼン環が同一平面で扁平構造をとる異性体をコプラナーPCBと呼び、構造的にダイオキシンやフランに類似し、その他のPCBよりも強い毒性を示すため、「ダイオキシン類」として分類されている。