高層湿原
[ コウソウシツゲン ]
植生学でいう湿原は低温・過湿のために枯死したミズゴケが分解されず泥炭となり、水を含んで過湿となった場所をいい、「高層湿原」とは、泥炭が多量に蓄積されて周囲よりも高くなったために地下水では涵養されず、雨水のみで維持されている貧栄養な湿原を指す。植生はミズゴケ類が主体。
多量の泥炭の蓄積には低温・過湿な気候が必要なため、日本では屋久島を南限として、本州山岳地と北海道に分布している。高山に多いが、必ずしも標高の高い場所に限定されているわけではない。代表的な高層湿原は、尾瀬ヶ原、霧ヶ峰の八島湿原など。高層湿原の周辺に中間湿原、低層湿原がみられる場合もある。
高層湿原には氷河期の遺存種など貴重な動植物が生息・生育する場合が多く、保全上重要である。