鉛中毒

[ ナマリチュウドク ]

解説

重金属のひとつである鉛による中毒症。古くは、小児性鉛中毒症や乳児の鉛脳症などの事例、牛や犬の偶発的鉛摂取による中毒事故の事例が知られている。

野生動物の鉛中毒では、狩猟の盛んな欧米諸国、特に米国では、湖沼に堆積した鉛散弾を砂や砂利(グリット)と間違えて摂取した水鳥の鉛中毒が知られており、1976年の調査では、鉛中毒による水鳥の死亡数は毎年160-240万羽にのぼると推計された。また、鉛弾に当たったり鉛散弾を採取した水鳥を猛禽類が捕食することによる二次的な鉛中毒症も発生し、1991年の猟期から鉛散弾の使用が規制された。

日本では、1989年と1990年に、北海道美唄市宮島沼でオオハクチョウやマガンが堆積した鉛散弾による鉛中毒症で大量死した。また、1996年頃から北海道で、鉛製ライフル弾を受けたエゾシカを採食したオジロワシやオオワシなど、猛禽類の鉛中毒症も発生している。このため、2000年の猟期から水鳥猟での鉛散弾使用禁止地域を都道府県が指定することとされた。エゾシカ猟についても2000年の猟期からは鉛製ライフル弾が、2001年の猟期からは鉛製散弾も使用が禁止された。

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