自然資本

[ シゼンシホン ]

解説

自然資本とは、再生可能及び非再生可能資源や生態系サービスのフローを社会に供給する自然資産のストックである。経済学においては、生産の基盤となる資本として、伝統的には、人工資本と人的資本が注目されてきたが、近年はそれらとならんで自然資本の重要性が注目されている。

自然資本のストックには、(1)非再生可能で枯渇性の金属・化石燃料などの地下資源、(2)地球物理的サイクルと関係する再生可能で非枯渇性の太陽光、風、水、地熱などの非生物フロー、(3)森林や生物などの生態系システムとプロセスに関係する生態系資本、がある。これらの自然資本のストックから、鉱物や化石燃料などの非再生可能資源や生態系サービスがフローとして社会に提供される。化石燃料のように非再生可能で枯渇性のものはストックを取り崩すことにより生じるストックフローとして、生態系サービスのように基本的に再生可能なものはストックから生じる利子や配当のように生み出され、提供される。これらのフローを受けて経済は成り立っており、自然資本のストックが減少すればこれらのフローは減少し、経済にも支障が生じることになる。

自然資本にはこれまでその価値が適切に評価されず、市場で適正な価格がつけられていなかったことが指摘されている。ただし、鉱物資源や化石燃料(石油や天然ガスなど)については、すでに価格がつけられており、これまでの財務会計でも取り扱いが可能であることから、「自然資本」から除外される傾向がある。(2015年5月作成)

詳細解説

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