自然再生事業

[ シゼンサイセイジギョウ ]

解説

広義には、過去に損なわれた自然を積極的に取り戻すことを通じて、生態系の健全性を回復する事業の総称として使われるが、「二一世紀『環の国』づくり会議」報告(2001)において自然再生型の公共事業を推進することが必要との提言があったことを受けて公共事業のメニューの一つとして実施されるようになった「自然再生事業」、および、その後に制定した自然再生推進法(2002)に基いて多様な主体の協議と合意のもとで実施される「自然再生事業」のことを、狭義には指すことが多い。事業例として、直線化した河川の蛇行化による湿原の回復、都市臨海部の干潟や藻場の復元、自然林の回復などがあげられる。

単に景観を改善したり、特定の植物群落を植栽するというのではなく、その地域の生態系の健全性と生物多様性を回復してくことが目的とされる。公共事業の一環として行われる自然再生事業では、環境省を中心とする関係省庁、地方公共団体、地域住民等の連携が必要とされるとともに、科学的なデータを基礎とするきめ細かな施工が求められる。なお、自然再生事業は、長い年月を要する自然再生の始まりに過ぎない。その意味において、自然再生事業には、従来型の「竣工=事業の完了」という概念は当てはまらない。

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