移入種
[ イニュウシュ ]
生物学の用語としては、人為に限らず何らかの理由で対象とする地域や個体群の中に外部から入り込んだ個体の種を指すが、一般的には人為により自然分布域の外から持ち込まれた種をいう。自然に分布するものと同種であっても他の地域個体群から持ち込まれた場合も含まれる。「外来種」とほぼ同義語だが、「外来種」は海外から日本国内に持ち込まれた種に対して使われることが多い。
移入種(外来種)は在来の生物種や生態系に様々な影響を及ぼす。中には奄美・沖縄のマングース、小笠原のノヤギ、アノールトカゲのように在来種の絶滅を招くような重大な影響を与えるものもある。
このため、最近では移入種問題は、生物多様性の保全上、最も重要な課題の一つとされ、地球レベルでは生物多様性条約の枠組みの中で対策が検討されている。また、国内では一部で移入種の駆除が進められているほか、移入種対策のための「外来生物法」が2004年6月に公布され、翌年6月には生態系等に悪影響を及ぼしていることが明らかな移入種(外来種)として1科4属32種が「特定外来生物」として第一次指定され、規制が開始した。なお、「外来生物」は、「外来生物法」において使われる言葉で、海外から日本に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物、と定義されている。また、外来生物のうち、定着している・いないにかかわらず、特に大きな影響を及ぼす生物を「侵略的外来生物」としている。ただし、これらの生物も本来の生態系の中ではごく普通に生活していたものである。