磯焼け
[ イソヤケ ]
浅海域に生えているコンブやワカメ、その他多くの種類の海藻が減少し、サンゴモ(石灰藻)と呼ばれる、うすいピンク色をした硬い殻のような海藻が、海底の岩の表面を覆いつくした状態を「磯焼け」と言う。日本及び世界の沿岸域では古くから知られている現象だが、漁業などに大きな影響を与えるため問題となっている。
海底を覆うサンゴモは、表面から他の海藻が付着するのを防御する物質を分泌したり、表層細胞を剥離して自分の体の上に他の海藻が生育しないようにしているため、磯焼けになると大型の藻類の回復は困難(藻場の消失)となり、魚は寄り付かず、海底を一面に覆い尽くしたサンゴモの上にウニや、小型の巻貝ばかりが目に付くようになる。
海藻群落(藻場)の消失は、多くの魚類をはじめとする海生動物の生活の場や産卵場を失うばかりでなく、光合成を行うため海の生態系の非常に重要な存在となっている植物群を失うことにもなり、海の生態系は大きな影響を受けることになる。
磯焼けの引き金となる海藻の消失原因としては、海流の変化、藻食動物(ウニなど)による食害、大量の河川水の流入、海岸の環境汚染等による海水の濁りがもたらす海藻の光合成作用障害など様々な要因が指摘されているが、これまでのところそのメカニズムは解明されていない。
磯焼けが発生すると、長期に亘って藻場の回復が困難であるため、近年は、大型海藻の付着可能なコンクリートブロックを海底に置くなど人為的な藻場回復の試みが各地で見られるようになってきた。
なお、2007年2月に、特にウニや植食性魚類による食害対策を主として、磯焼けの原因と対策等を解説した「磯焼け対策ガイドライン」が水産庁より発表されている。