環境DNA
[ カンキョウディーエヌエー ]
生物の細胞などにはその生物固有のDNAが含まれている。生物の分類や進化などの解析にこのDNAが有力な情報となることは良く知られている。生物の身体からは新陳代謝により絶えず組織片が、剥がれ落ちたり、排せつ物などに付着したりするなどして体外に放出されている。
海や川に生息している生物においても同様であり、その生息域の水中にはこうした組織片(細胞)などが含まれていることになる。そこで、この水を採取し、その中からDNAを取り出し、分析すれば、どの様な生物がどの程度棲んでいるのかわかる可能性がある。
事実、河川や海水中のDNAを調べてみたところ、様々な生物のDNAが存在することがわかった。
このような環境水などの環境試料中のDNAのことを環境DNAと呼ぶ。
従来、河川や海水中の私物調査には、実際にそこに生息する生物を捕獲することにより調査されてきたが、多様な生活環境に生育する生物を網羅的に調査することは、時間もかかり、また捕獲などにより希少生物への負荷が大きく、問題があった。そこで、前述のように環境水中のDNAを調べることにより、生物調査を行う方法が研究され、大きな成果を上げつつある。
特徴は、少ない採水量で、比較的広範囲な調査が網羅的、かつある程度定量的にも可能なことで、注目されている。(2017年7月作成)