環境教育・環境学習
[ カンキョウキョウイクカンキョウガクシュウ ]
「環境教育」という用語は、1948年の国際自然保護連合(IUCN)の設立総会で最初に用いられたと言われているが、日本で本格的に使われるようになったのは、1960年代からの深刻な公害問題や自然破壊に対する解決的手段として、その必要性が広く認められるようになってからである。その教育の潮流としては、公害教育や自然保護教育等の枠組みを継承して、現在に至っている。近年では、単なる自然保護の文脈としてではなく、国際的に議論の中心テーマとなった「持続可能性」を背景とした広い文脈での「環境教育」が求められつつある。
また、地域レベルでも、地球レベルでも、環境ケアに向けての行動は、上から押し付けられるものではなく、学習者自らのアクション・リサーチにより達成される、との考え方から、「環境教育」ではなく「環境学習」という用語も多用される傾向にある。
1994年に閣議決定された環境基本計画では並立的に表記し、その意味・理念について、持続可能な生活様式や経済社会システムを実現するために、各主体が環境に関心を持ち、環境に対する人間の責任と役割を理解し、環境保全活動に参加する態度及び環境問題解決に資する能力を育成することが重要で、幼児から高齢者までのそれぞれの年齢層に対して推進しつつ、学校・地域・家庭・職場・野外活動の場等多様な場において互いに連携を図りながら、総合的に推進するものと整理している。併せて、推進に際して重視・留意すべき点として、(1)自然の仕組み、人間の活動が環境に及ぼす影響、人間と環境の関わり方、その歴史・文化等について幅広い理解が深められるようにすること、(2)知識の伝達だけではなく、自然とのふれあい体験等を通じて自然に対する感性や環境を大切に思う心を育てること、(3)特に、子どもに対しては、人間と環境の関わりについての関心と理解を深めるための自然体験や生活体験の積み重ねが重要である と指摘している。
1999年12月の中央環境審議会環境教育答申、2002年12月の中央環境審議会環境保全活動の活性化方策(中間答申)等を経て、2003年7月に「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」が議員立法により制定されている。