熱帯林の減少

[ ネッタイリンノゲンショウ ]

解説

世界の先進地域の森林は温帯林、途上地域の森林は主として熱帯林から成っている。世界的に森林の減少が続く中で、特に東南アジア、アフリカ、アマゾン流域の熱帯林の消滅が著しい。消滅の原因は、先進国向けの木材輸出、薪炭としての利用、農地開墾、家畜の増加、道路建設などの森林の開発が挙げられる。これらの傾向を強める主な原因は、発展途上国の人口急増であるが、先進国の木材輸入もその一因となっている。日本は1960年代に急速に木材輸入量を増加させて以降、大量の木材を輸入し続けている。現在も世界最大の木材輸入国として世界貿易の約2割を占めており、東南アジアの熱帯林から生産される木材をはじめとし、数多くの国々から木材を輸入している。最近では、植物油脂消費増加に伴うアブラヤシのプランテーション拡大などでも熱帯林が伐採されている。

熱帯林は生物多様性の宝庫で、全世界の生物種の半数以上が生息していると推測される。このため、熱帯林の減少は生物多様性の減少を招くものとして地球環境問題の重要な課題の一つとなっている。こうした意味で、単に面積の減少のみならず、様々な森林の質の変化を含めて「熱帯林の劣化」と評価することもある。

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