炭素税
[ タンソゼイ ]
地球温暖化対策のため、二酸化炭素の排出量に応じて徴収する租税制度。
化石燃料を燃焼した場合に排出する二酸化炭素の量に応じて徴収することで、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出削減の経済的インセンティブをねらいとすると同時に、温暖化対策の財源調達に充てることを目的とする。「環境税」と呼ばれることもあるが、こちらは二酸化炭素排出も含めて、より広義に環境に負荷を与えるもの(あるいは環境の利用者)に対する租税制度もしくは課徴金制度を指すことが特に近年は多くなっている。
日本では、温暖化対策税という言葉も使われたが、2005年に環境省が取りまとめた「環境税の具体案」では、「環境税」という言葉が温暖化対策の租税制度に対して使われている。ここでは、一世帯当たりの月負担額は約180円との試算も出され、導入に向けた普及を図っている。なお、温暖化対策については、排出に関わる者それぞれの受益ないしは原因の程度を直接的に特定することは容易ではないことから、課徴金制度による受益者・原因者等による負担よりも、規制税的性質を持つ租税制度の方が適当であるとの考えが示されている。
OECD(経済協力開発機構)内では、炭素税に関する多くの提案がなされ、オランダやスウェーデンなどの国はすでにこれを採用しており、日本を含む他の先進諸国においても導入が検討されている。
日本では、経済産業省により、エネルギー特別会計のなかで石油に対して石油税として電力会社や石油元売会社などに課税していたが、2003年度から「石油・石炭税」(仮称)等に改め、石炭等に対しても課税し、増収分を温暖化対策に充てることとしている。しかしこの「石油・石炭税」は環境省が導入を検討しているCO2の排出量に応じて幅広く課税する環境税(炭素税)とは性格が異なるものとされている。2004年度に入って環境省・農水省は環境税の導入を図ったが、経産省や産業界は真っ向から反対し、与党税調、政府税調とも引き続き検討としてきた。