炭素循環

[ タンソジュンカン ]

解説

人間による化石燃料の燃焼とそれによる二酸化炭素の大気への排出を含めた、地球上の炭素の排出、吸収のメカニズムの循環系をいう。

炭素循環を構成する主な過程として、(1)大気と海洋との間の二酸化炭素の交換、(2)海洋の「表層水」と「深層水」の循環による「深層の長期貯蔵庫」との間の二酸化炭素の交換 (3)土地利用の変化により生ずる二酸化炭素の正味の吸収または排出(森林破壊など)(4)陸上の植物の光合成による二酸化炭素の吸収、木材や土壌内の長期貯蔵庫への植物炭素の移動がある(1994年:IPCC特別報告書)。

二酸化炭素の排出と大気中の濃度の関係を検討し、将来の二酸化炭素濃度を計算するためには、炭素循環のメカニズムの全ての過程を明示的に取り入れた炭素循環モデルが必要であるが、現時点では炭素循環の収支は必ずしもうまく合っておらず、科学者の間では、とくに海洋の吸収量を中心に盛んに研究、議論が行われている。

大気中の二酸化炭素を減少させるためには、二酸化炭素を液化させ直接深海に注入する案や、効果的に二酸化炭素を吸収する植物プランクトンの研究がなされているが、最終的にはこれを実施するために必要なエネルギー及びコストが問題になるので、いまのところ現実性は乏しい。

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