瀬戸内海環境保全特別措置法
[ セトナイカイカンキョウホゼントクベツソチホウ ]
瀬戸内海の環境の保全を目的とする法律。瀬戸内法と略称される場合もある。瀬戸内海環境計画の策定、環境保全上支障の生じる恐れのある排水施設の設置の規制、総量規制の実施、公有水面の埋め立てにあたっての特別な配慮、自然海浜地区の指定などを規定している。
1974年に前身の瀬戸内海環境保全臨時措置法が時限法として制定されたが、その後、1978年に改正され、名称も改めた恒久法となった。環境省所管。
政府による瀬戸内海の水質保全等環境保全基本計画・策定、関係府県知事による環境保全府県計画の策定、府県知事による特定施設の設置許可、水質汚濁防止法に基づく総量削減基本方針の策定及びこれに基づく汚濁負荷量の総量の削減、環境大臣による富栄養化被害発生防止のための関係府県知事に対する指定物質(燐、窒素など)削減指定方針の策定指示、関係府県による自然海浜保全地区の指定、環境保全のための事業の促進等を定めている。2015年議員提案で全面改正され、従来の栄養塩削減対策により海域によっては栄養塩不足による漁業不振が見られる等の指摘を踏まえ、理念的に「きれいな海」から「豊かな海」をめざすとした。法に基づき閣議決定される瀬戸内海環境保全基本計画も法改正に先立って全面改定され、「水質の保全」「自然景観の保全」という従来の二本柱から「水質の保全及び管理」「自然景観及び文化的景観の保全」「沿岸域の環境の保全、再生及び利用」「水産資源の持続的な利用の確保」の四本柱にした。
p<>ただし、当時は水質汚濁の原因物質であると同時に生態系の存立基盤でもある栄養塩類との関係性や、水質保全との調和・両立のあり方に関する科学的知見が十分でなかった等から、施行後5年をめどに瀬戸内海における栄養塩類の管理のあり方について検討することとされ、2021年6月に改めて同法が改正された。2021年改正の主なポイントとして、栄養塩類管理制度の創設、自然海浜保全地区の指定対象拡充、海洋プラスチックごみを含む漂流ごみ等の発生抑制等に関する責務規定、気候変動による環境への影響に関する基本理念の改正の4点があげられる。(2021年9月改正)