海洋酸性化

[ カイヨウサンセイカ ]

解説

外洋など陸からの淡水の影響を受けない海域は、通常pH8.1の弱アルカリ性である。二酸化炭素は水に溶けると弱酸性の炭酸になる。大気中の二酸化炭素濃度が高くなるとその一部が海水に溶け込み、海水のpHが低下する(溶解度ポンプ:CO2濃度が高い方からCO2濃度が低い方に、CO2が溶け込む)。

CO2 + H2O ⇔ 2H+ + CO32-(炭酸イオン) ⇔ H+ + HCO3-(重炭酸イオン)

その結果、実際に酸性になるわけではないが、pHが、8.1より低くなる(pHが酸性側による)ため、海洋酸性化と呼ばれている。このまま二酸化炭素濃度が上昇し続けると、海水中の重炭酸イオンを用いて骨格や殻を作るサンゴや貝類への影響が懸念されている(pHが下がると骨格や殻を形成し難くなる。さらに、酸性度が強くなると、炭酸カルシウムの骨格や殻は溶ける)。

大気中の二酸化炭素は雨などに溶け込み海洋に付加されたり、海洋表層での大気海水交換作用により直接海水に溶け込んだりしている。海水中の重炭酸濃度(海水は弱アルカリ性であるため、このpHの解離平衡では、炭酸は重炭酸イオンHCO3-として存在する)は、海域で異なる。気体の溶解度は水温に逆比例するので、海水温が低い高緯度や極域は、二酸化炭素を吸収する二酸化炭素のシンク(吸収場)になっている。(2017年7月作成)

詳細解説

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