水生植物
[ スイセイショクブツ ]
湖沼、溜池、河川などの淡水域に生育する植物の総称。水草ともいう。広義には湿地や湿原に生育する湿生植物も含める。水中で発芽し、1年のうち少なくともある期間を水中か一部を水面上に出した(抽水)状態で過ごす。維管束植物以外に、蘚類、車軸藻類、植物プランクトンを含むこともある。水生維管束植物は日本に約100種、世界に約1,000種あるとされる。生育している状態により、抽水植物、浮葉植物、沈水植物、浮遊植物に分類されるが、一部の種は生育環境により異なった生育形をとる。
水生植物は、魚類、水生昆虫、水鳥などの水生動物の餌となるばかりでなく、生息場所を形成する。水生植物とそれに付着する微生物や藻類は水質浄化機能をもつ。水生植物の生育環境は、水質汚濁、埋め立て、改修工事などで減少し、ムジナモやサンショウモなど絶滅の危機に瀕している種も多い。ホテイアオイやオオカナダモなど異常繁殖する外国産の水生植物が、在来の水生植物へ及ぼす影響も懸念されている。