水俣条約

[ ミナマタジョウヤク ]

解説

2013年10月に熊本市・水俣市で開催された外交会議において採択された国際条約。2017年8月16日発効。2024年3月現在、締約国は148か国。日本は2016年2月に条約を締結。

世界規模の水銀汚染対策として、水銀及び水銀化合物の人為的排出から人の健康及び環境を保護することを目的としており、採掘から流通、使用、廃棄に至る水銀のライフサイクルにわたる適正な管理と排出の削減を定めている。

日本は、外交会議において途上国支援や水俣発の情報発信・交流に関する「MOYAIイニシアティブ」を表明しており、この一環として、水銀マイナスプログラム(MINAS:MOYAI Initiative for Networking, Assessment and Strengthening)による途上国の水銀対策を、アメリカ環境保護庁や国連環境計画(UNEP)、独立行政法人国際協力機構(JICA)等と連携しながら進めている。

条約採択までの背景として、2002年に国連環境計画(UNEP)は、水銀の人への影響、汚染実態をまとめた報告書(世界水銀アセスメント)を公表し、地球規模の水銀汚染対策に取組む必要性を指摘した。これを受けて2009年の第25回UNEP管理理事会では、法的拘束力のある文書(条約)の制定、そのための政府間交渉委員会(INC)の設置、2013年までの取りまとめなどが合意された。INCの第1回会合はストックホルムで、第2回会合は2011年1月、千葉市幕張メッセで開催されている。その後、2013年10月に水俣市で条約が採択され92か国(含むEU)が署名した。日本は、水俣病を経験した国として積極的に関与することとし、2013年1月に開催されたジュネーブにおいて条約の採択・署名の外交会議を招致し、条約の名称を「水俣条約」と名づけることを提案した。(2024年3月改定)

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