景観
[ ケイカン ]
人間が視覚で捉えた事物をいう。一般的には「風景」と同じように使われているが、「風景」は視覚で捉えた事物を見る人の心や感情や知識等を介して主観的に捉えた場合に使われることが多く、「景観」は視覚で捉えた事物を客観的・科学的に捉えた場合に使われることが多い。なお、「景色」は眺望した自然の風景に対して使われることが多い。
景観保全に係る地方自治体の条例や景観法(2004)の制定を背景に、「居住者が景観の恩恵を受ける利益(景観利益)」の法的保護が認められるようになっている。ただし、景観利益を明確な権利として認める「景観権」の確立までは至っていないという判断が主流。
景観の主たる構成要素により、自然景観、文化的景観、歴史的景観などさまざまに分類される。また、視点場(景観を見る地点)と視対象(景観として把握される客体)との関係からも、眺望景観、囲繞景観、シークエンス景観などさまざまに分類される。
「環境アセスメント」においては、景観項目に関して「眺望景観」と「囲繞景観」に区分して、影響評価を行うこととされている。これは、景観の保全が、特定の眺望点から特定の景観資源を眺める「眺望景観」を維持するだけでなく、身近な身のまわりの景観(「囲繞景観」)の構成要素を全体として保全していくことも重要である、との認識によるものである。また、文化財保護法では2004年の改正により「文化的景観」の保護制度が設けられた。
なお、国立公園、国定公園の特別保護地区は「景観の維持」を目的として指定される(自然公園法)が、ここで言う「景観」は規制の内容等からして視覚で認識される範囲を越え、「生態系」を意味するものと解されている。