放射強制力
[ ホウシャキョウセイリョク ]
平衡状態にある大気と地表とのエネルギーのバランスが、さまざまな要因により変化した際、その変化量を圏界面(対流圏と成層圏の境界面)における単位面積あたりの放射量の変化であらわす指標。
その要因のひとつが温室効果ガスの濃度変化である。放射強制力が正の値のとき、地表を暖める効果を持っている。一方、放射強制力が負の値のとき、地表を冷却する効果がある。
温室効果は、直接的にはこの放射強制力に依存しており、各種温室効果ガスの強度を表す地球温暖化係数(GWP)を決める際の基礎的なデータになっている。温室効果ガス以外にも土地利用による表面反射率の変化、及び太陽放射の変動、さらには温室効果ガス以外の大気組成の変化によっても放射強制力の変動がもたらされる。
大気組成の変化を生む物質には、一酸化炭素、窒素酸化物、水蒸気、煤やその他の微粒子、硫黄を含むガス類その他の微量物質などがある。最近発表されたIPCC報告書には、温室効果ガスと並んで、放射強制力に影響を及ぼすガスの排出を削減させることが、放射強制力を安定させる上で必要となると述べられている。