揮発性有機化合物

[ キハツセイユウキカゴウブツ ]

解説

常温常圧で空気中に容易に揮発する物質の総称で、主に人工合成されたものを指す。英語表記の頭文字をとってVOCと略される。比重は水よりも重く、粘性が低くて、難分解性であることが多いため、地層粒子の間に浸透して土壌・地下水を汚染する。一方、大気中に放出され、光化学反応によってオキシダントやSPM(浮遊粒子状物質)の発生に関与していると考えられている。炭化水素(系物質)を主とするが、C、H以外の元素が入っているものも含むため、炭化水素類(HC)より概念的には広い。

1970年代初頭から農薬や、主に電気工場や半導体工場で洗浄剤などとして大量に使用され、当時規制する法律がなかったため土壌にそのまま廃棄されていた。これが再開発等に伴って汚染事例が数多く判明し、社会問題化している。2004年の大気汚染防止法改正により、浮遊粒子状物質、光化学オキシダントの生成原因となるVOCの排出が規制されるようになった。環境省の試算では、2011年度に国内で大気中に放出されたVOC排出量はおよそ78万トンであり、2000年度比で44.7%削減されている。

詳細解説

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