嫌気性発酵
[ ケンキセイハッコウ ]
遊離酸素のほとんどない嫌気性環境で起こる発酵現象のこと。なお、「発酵」とは、食品などの有機物中で細菌などの微生物が増えることによって起こる変化のことで、現象的には「腐敗」や「消化」と同じく微生物の活動の結果として起こる変化を言う。これらの表現の違いは、関わる微生物の種類などではなく、微生物の活動を通じてヒトにとって有益な物質(メタン、水素、有機酸、アルコールなど)の生成を目的とする場合に「発酵」という表現が用いられる。
嫌気性発酵では、遊離酸素のほとんどないところでも生育できる微生物の働きによって、高分子の有機物が低分子の有機酸に分解(酸発酵)され、さらに引続いて、メタンガスと二酸化炭素・水素などに分解(メタン発酵)されることをさす。メタン発酵に係わるのは、メタン生成細菌であり、湖沼・内湾などの底泥における堆積有機物の分解や下水汚泥の嫌気性消化が、その例として挙げられる。
炭水化物や脂肪類等を含む汚泥は、溶存酸素がなくなると、多種多様な嫌気性細菌群によって、嫌気性発酵を引き起こす。この現象を利用した汚水処理技術は「嫌気性消化」と呼ばれる。この消化の過程は、一般に低級脂肪酸が生成される液化(酸生成)工程と、メタンガスや炭酸ガスを発生するガス化工程に区分される。(2003年9月作成、2026年4月更新)