嫌気性発酵

[ ケンキセイハッコウ ]

解説

遊離酸素のほとんどないところでも生育できる細菌などの微生物の働きによって、高分子の有機物が低分子の有機酸に分解(酸発酵)され、さらに引続いて、メタンガスと二酸化炭素・水素などに分解(メタン発酵)されることをいう。メタン発酵に係わるのは、メタン生成細菌であり、湖沼・内湾などの底泥における堆積有機物の分解や下水汚泥の嫌気性消化が例として挙げられる。

炭水化物や脂肪類等を含む汚泥は、溶存酸素がなくなると腐敗を始める。多種多様な嫌気性細菌群によって引き起こされるこの現象は、嫌気性消化といわれる。消化の過程は、一般に、低級脂肪酸が生成される酸生成(液化)工程と、メタンガスや炭酸ガスを発生するガス化工程に区分されている。

発生したメタンガスは、燃料として有効利用できる。メタンガスでガスエンジンやガスタービン等を駆動して発電する汚泥ガス発電は、横浜、北九州などで実用されている。

有機汚泥を嫌気性醗酵させて燃料電池用に水素ガスを発生させる技術も開発中である。下水汚泥より油を造る方法も研究されている。

詳細解説

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