侵略的外来種

[ シンリャクテキガイライシュ ]

解説

移動先の生態系、人間の健康や生活、あるいは農林漁業に影響を及ぼすことが多い外来生物のうち、特にその影響が大きいものを侵略的外来生物と呼ぶ。

侵略的外来生物に対しては、2000年代に国際自然保護連合(IUCN)が「世界の侵略的外来種ワースト100」(2000)を、また日本生態学会が「日本の侵略的外来種ワースト100」(2002)を公開している。

「侵略的」というと、恐ろしく悪意を持った生き物と捉えられかねないが、本来の生息地ではごく普通の生き物として生活しており、その生き物自体が恐ろしかったり悪かったりするわけではない。たまたま導入された場所で天敵がいないなど、大きな影響を引き起こす条件があったことによる。このため、環境省では、「入れない・捨てない・拡げない」の外来種被害防止三原則を掲げている。

これら侵略的外来生物による国内の被害防除を目的に、外来生物法(2004)による規制措置がとられている。同法で対象とする外来生物は、海外から意図的、非意図的な人為により侵入した外来生物(及びその生物との交雑により生じた生物を含む)に焦点を絞り、政令によって「特定外来生物」として指定している。例えば、哺乳類ではアライグマやタイワンザル、ジャワマングース、鳥類ではガビチョウやカナダガン、は虫類ではカミツキガメやグリーンアノール、両生類ではオオヒキガエルやウシガエル、魚類ではオオクチバスやブルーギル、昆虫ではテナガコガネ属やヒアリ、植物ではアレチウリやオオハンゴンソウなど、132種類を指定している(2016年10月1日現在)。これらの特定外来生物には、IUCNと日本生態学会による侵略的外来種リストと重複するものも多い。

なお、環境省及び農林水産省では2015年3月に、外来生物法の規制対象以外の侵略的外来生物も含めて幅広く選定した「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)」(動物229種類、植物200種類の計429種類を掲載)を作成するとともに、2020年までの国の行動目標等を定めた「外来種被害防止行動計画」を策定している。(2017年9月作成)

詳細解説

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