人畜共通感染症

[ ジンチクキョウツウカンセンショウ ]

解説

動物から人へ、あるいは人から動物へ伝染する病気。獣類(家畜)から感染することが多いため人獣共通感染症、人畜共通感染症とも言われる。正式には、1975年にWHOで「脊椎動物と人間の間で通常の状態で伝播しうる疾病(感染症)」と定義されている。

日本では主なものとして30種類以上が、また世界中では数百種類が知られている。病原体は、細菌、ウイルス、寄生虫、リケッチア、原虫、真菌などさまざまで、診断・治療も病原体により異なる。代表例として、狂犬病、日本脳炎、オウム病、トキソプラズマ症、エボラ出血熱、鳥インフルエンザなどがある。

近年は、体内タンパク質の一種であるプリオンの異常により発症し、人に感染すると急速な痴呆症状などを引き起こすBSE(牛海綿状脳症)や、ハクビシンなどの野生動物が感染源と疑われるSRAS(重症急性呼吸器症候群)など、新たな人畜共通感染症が続発し、注目を集めている。背景には、本来別世界にあった人と動物の病原体が、食文化の変化や自然環境の破壊、現代社会における市場のグローバル化などによって接触の機会が増えていることが指摘される。また近代的畜産業の高密度・高効率化などが被害リスクを拡大しているとの指摘もある。BSEでは、肉骨粉の利用など効率的な資源循環が新たなリスクをもたらしたともみられる。

詳細解説

EICネット 環境用語集